カテゴリ:2年の授業風景( 23 )

第9期2年生 第7回「古材・再生素材」

b0186729_16192783.jpg

1月20日(土)は、家づくり学校2年生の第7回目『古材・再生素材』の授業でした。

引率講師は、家づくりの会の安井正先生。
はじめに訪れたのは、新木場にある『東京ボード工業』さん。
パーティクルボードを作っている工場です。

型枠、造作端材、パレット、家具、植木(生木)、割箸、、、これら木質系の廃棄物をチップ化し、安全・健康に配慮された接着剤で再結合させたボード製品。
システムキッチンや収納家具、マンション置床の下地として使われています。

工場内部は写真撮影禁止ということで公表はできませんが、
持ち込まれた廃材に混じっている釘などの金属を丁寧に取り除き、
厳ついカッターで粉砕されてチップとなり、それをボード状に固められて製品化。

こちらでは大量の受け入れ要求があり、生産量が年々増加しているそうです。
リサイクルやエコという言葉が脚光を浴びる時代において、
自分たちの作ったものが、その役目を終えた時のことまで想像しておくことは、
我々設計者にとっても大切なことだと思います。

続いて訪れたのは、葛飾区金町にある『柳沢商店』さん。
家屋解体時に出る再利用可能な建築資材を取り扱っているところ。
倉庫の中には、所狭しと資材が保管。奥に行くに従い、お宝が眠っている予感がします。
b0186729_16211434.jpg

柱や梁はもちろんのこと、野縁や垂木を含め、ほぼ全ての部材を大切に扱っております。
解説してくれるのは、4代目の小林さん。手の込んだ明かり障子や、レトロな硝子障子、
素材の色艶が増した経年美化。好きな人には、堪らない空間です。
b0186729_16362545.jpg

次に訪れたのは、谷中にある湿板写真館。
安井さんが15年前にリノベーションを手掛けた実例。
内部の様子は、写真に写っている方々の肖像のことがありますので、公開は控えます。
b0186729_16393213.jpg

天井を剥がし、古びた梁材を表した空間。大胆に切り取ったトップライトからの光が空間の陰影を惹き立てているように思います。床にはパーティクルボードが貼られており、15年を経た暮らしに馴染む様相がうかがえました。
b0186729_16382729.jpg

せっかくなので、谷中散策。
古い建物をリノベーションしたり、古材や再生素材を活かした街並みが広がっています。
瓦と土を重ねて積んだ塀、江戸時代の寺町の面影を今に伝えます。
b0186729_16412824.jpg

最後は、谷中銀座の路地奥にある『空薫×tech to hook』。家づくり学校の事務局長の丸石さんが主宰する設計事務所と、そのお友達がやっている和菓子屋さん。
古い木造住宅をリノベーションして活用している実例を見学させていただきました。
b0186729_16420660.jpg
以上、一日歩き回り、考えさせられることが多かったように思います。
聞こえの良いキャッチコピーが流布する現代社会において、
シビアな現実を受け止めた上で何ができるか?
そういったことをも探求することが、我々設計者としての責任かと感じました。

根來宏典/根來宏典建築研究所

[PR]
by iezukuri-school | 2018-01-22 17:40 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第9期2年生第6回「木材」

1118日(土)2年生は埼玉の山へ木材を勉強に行ってきました。

講師は松澤静男先生(マツザワ設計)。

今回は埼玉県飯能の「西川・森の市場」事務局の浅見さんにも同行して頂きました。

b0186729_16084576.jpg

まず向かったのは、飯能にある井上さんの山。

井上さんから、この地で育つ西川材とよばれている名前の由来や、杉材の特性などレクチャーして頂きながら、山を登っていきます。

b0186729_16085199.jpg

同じ70年生の杉でもまったく太さの違う木を見て育ちや強度の違いの話、まっすぐ育つ良質な杉は遺伝的な要素を持っていてその子供の杉もまっすぐ育つ、そんな話も聞いたりしながら、伐採して頂ける木の近くまで到着しました。

職人さんがチェーンソーを操って、手際よく作業していきます。

b0186729_16090376.jpg

無造作に並んでいるような杉の木ですが、計画的に木の性格や生長具合などを見極めながら、山に手を加える仕事はとても根気と労力のいる仕事です。今、日本の山は構造材や建材として使う木材を供給するにはちょうど良い時期なのだそうです。多少高くても国産材を使う意義を改めて考える良い機会になったのではないでしょうか。

伐採見学の後は「KINOCA」さんでお昼ごはん。

こちらの施設を設計されたのは現在4年生のヒダマリデザイン設計室の太田さんです。

プレカットと手加工の違いを見比べる事が出来るように設計されています。

b0186729_16091175.jpg
b0186729_16090816.jpg

午後は加工の現場へと伺います。

午後一番に伺った「日本住建」さんは、手加工も可能なプレカット工場です。

b0186729_16091674.jpg

機械では加工できない複雑な納まりとなりそうな部分はモックアップを大工さんが加工して納め方を検討してくれる、ちょっと面白いプレカット工場です。

b0186729_16091915.jpg

ロボットの腕のような機械。ちゃんと工具を持ち替えて作業しています。

b0186729_16092112.jpg

その後は、手刻みの加工現場を見学に「吉澤建設工業」さんの下小屋へ。

b0186729_16092517.jpg

先代の社長さんは現代の名工として表彰されるなど、木組みについてはこだわりのある工務店さんです。木材の仕口について2代目社長の吉澤さんからレクチャーして頂きました。

蟻かけの継ぎ手もプレカットと手刻みではねじれに対しひと手間かけていたりと手刻みによる加工の場合同じように見える仕口でも見えないところにひと手間かかっている事を教えて頂きました。

近くで施工中の現場も見学させて頂きました。

素材のある山に入りその素材を加工するまでの流れを見て、山の現状や機械化と手加工の違いを肌で感じる事が出来た一日でした。見学先それぞれで感じたのはそこにいる人がやはり素材に愛着をもって向き合っているということ。その素材をどのように設計に取り込み活用していくのか、個々の考えの違いはあれど、設計者としての向き合い方は同じでなければいけないような気がしました。

福田建築設計事務所/福田隆一

[PR]
by iezukuri-school | 2017-12-20 16:15 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第9期2年生 第5回「建具」

b0186729_551347.jpg

10月21日(土)は、家づくり学校2年生の第5回目『建具』の授業でした。

引率講師は、家づくりの会の松本直子先生。
はじめに訪れたのは、埼玉県狭山市にある『阿部興業 狭山中央研究所』さん。
今年7月に開設された新しい施設です。
建具の知識向上の場を提供するモックアップ展示、製品性能を試験で実施し、
各評価試験に備えて基礎データを充実させる製品試験室を備えています。

建具に求められる性能として、断熱、気密、水密、耐風圧、耐火、防犯、耐久、安全、耐震、遮音といったことが考えられます。これらのことは、建築基準法、住宅性能表示制度、公的仕様書、業界ガイドラインでも示されていますが、
ものづくりが規格化されていく流れの中で、その原点に立ち返ることも重要であり、
こういった性能についても我々設計者は無関心ではいられません。

腰を据えた講義を伺った後、いよいよ試験室の見学です。
研究所のため写真NGであり、詳しくはお伝えすることはできませんが、
全16種類の試験及び施工方法を検討できる設備を備えておりました。
b0186729_5523856.jpg

続いて向かったのは、埼玉県熊谷市にある建具屋『利光』さん。
NC加工機が整い、フラッシュと無垢の両方、
さらには防音や防火といった特殊建具を得意としています。
NCというのは、ナンバーコントロールの略で、コンピューター制御された機械のこと。
導入コストは高価ですが、作業効率が向上しますね。
b0186729_5541076.jpg

鉛を扱う様子、病院のX線室の扉に仕込まれます。
b0186729_55443100.jpg

次に向かったのは、埼玉県比企郡ときがわ町にある建具屋『下雲木工所』さん。
ときがわ町は「建具のまち」で、町内には70件程の建具屋さんがあるそうです。
その中でも下雲さんは、無垢の建具、格子、障子、框戸を得意としており、
全て受注生産の建具を扱っています。
b0186729_5551798.jpg

墨付け、ホゾ加工が終わり、次の工程を待つ部材。職人技が光ります。
b0186729_5554724.jpg

最後に訪れたのは、東京都昭島市にある建具屋『荒川木工所』さん。
先の見学先で質問や解説に熱が入り過ぎ、、、
すっかり日が暮れての遅い時間の到着となってしまいました。
手づくりの建具を全般的に得意としているのですが、限られた時間ですので、
障子に的を絞り、その形状や組手のことを分かりやすく教えてくれました。
b0186729_5563242.jpg


家づくりの会の木製防火建具研究会と一緒に木製防火建具の開発をした建具屋さんです。
その建具の仕掛けを説明している様子。
建築家の建具らしく框が細い、隠し框、機能とこだわりが詰まった美しさ。
モックアップなので小さなサイズですが、最大w2.85m×h2.40mで認定を取っています。
b0186729_557063.jpg

この防火建具の凄い所は、デザインだけではありません。
一部のメーカーでも木製防火サッシを生産していますが、それはそのメーカーでしかつくることができません。それに対しこちらは、どこの町場の建具屋さんでもつくれる仕様、認定の取り方になっており、技術のオープン化を目指しています。
素材についても、杉以上の密度であれば何でも使えます。

この開発が始まって10年程、ようやく実現できるようになった訳です。
町場の建具屋さんの元気を取り戻すことに寄与できると良いですね。

建具屋さんに足を運んだことのある設計者は少ないのではないでしょうか、、、
今の住宅で使われている殆どの建具は既製の工業製品であり、技術が衰退しつつあります。
特注品と既製品、手加工と機械加工、伝統的なものと現代的なもの、どちらが良いということではなく、相互の良い所を活かすことの大切さを学んだ一日となりました。

根來宏典/根來宏典建築研究所
[PR]
by iezukuri-school | 2017-10-27 06:03 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第9期2年生 第4回「瓦」

9月16日(土)第4回目「瓦」の授業のレポートです。
講師は徳井正樹先生と屋根舞台という瓦製造、瓦職人のチームの世話人代表、小林保先生です。

今回の授業の出発点は高崎駅。みんなで車を出し合って移動します。


先ず伺ったのが、徳井先生設計の「花扇」。
地域に根差したお花屋さんで、ここでは「離瓦」という瓦を放熱板としてとらえ考え出された新しい工法で屋根は葺かれています。
b0186729_16011725.jpg

その次に伺ったのは、「能瓦」で葺かれた家を見学。この瓦も江戸中期の十能瓦として伝わっていた瓦を現代に合うように復刻されたそうです。
b0186729_16012191.jpg




b0186729_19094145.jpg
その後、徳井先生のご自宅にうつり、ミニ講座。
地球温暖化による夏場の温熱環境の変化に瓦を活用することに至った経緯やご自宅の建設時のお話しや地域の事など、とても内容の濃い講義。
b0186729_19100198.jpg
まだまだ続きます。次は小林先生のご自宅に移り、お昼ご飯のお弁当を食べながら、小林先生のお話しを伺います。
自らも屋根に上り瓦を葺く職人さんとして、設計者に対する考えをお聞き出来ました。
小林先生は屋根舞台というチームを組んで徳井先生と一緒に離瓦や能瓦など創作し甍賞の金賞も受賞され新しいことへチャレンジした時の苦労話や、
職人へ依頼する際の極意など、設計者として為になるお話しを伺いました。
b0186729_19103535.jpg
b0186729_19104870.jpg
群馬県甘楽町は、富岡製糸場と深い繋がりがあり、製糸場を建設する際に必要ととなるレンガ、瓦はほとんど甘楽町で作られたそうです。
だるま窯や、トンネル窯も見学し、最後の締めくくりは、改修中の富岡製糸場へ。
瓦の屋根工事も担当されている小林先生よりレクチャーを受けながらの見学はまた違った見え方のする行程となりました。
b0186729_19110455.jpg
今回の見学で地域で活動する建築家の素材に対する向き合い方、どっぷりと浸かることも必要だと実感いたしました。
福田隆一/福田建築設計事務所

[PR]
by iezukuri-school | 2017-09-27 19:14 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第9期2年生 第3回「鉄平石」

b0186729_16491693.jpg

7月15日(土)は、家づくり学校2年生の第3回目『鉄平石』の授業でした。

今回の探訪では、大型バスを借り切り、諏訪の方に行って参りました。
引率講師は泉幸甫先生、現地で案内いただいたのは藤森鉄平石の細田さんです。

諏訪の鉄平石は、およそ2400年前、霧ヶ峰火山の活動により誕生した石。
その活動によって2㎝前後の水平に積み上がった岩石の層を板状節理といい、
さらに3~5m幅で垂直に積み上がった層を柱状節理といいます。

鉄平石は、その節理に沿って層状に剥がれる特徴を持つ輝石安山岩。
山肌に岩の節理が露出している採石場の圧巻な風景をバックに、
細田さんの解説に聞き入ります。

職人さんが、石を薄く割る技を披露してくれました。
節理を見極め、石の小口にノミを打っていきます。
ぐるりと一周するころには、水平にひび割れが浮き出てきて、2枚に剥がれます。
b0186729_16495075.jpg


板状に割り出された石が、そこかしこに積まれています。
サイズも様々、色も様々、小口も様々、表情も様々、、、
ともかく、様々な使い方の可能性を感じる石であります。
b0186729_1650371.jpg


鉄平石の採石場を後にし、向かったのは、鉄平石による石屋根葺き民家。
石質は硬く、耐火性、耐候性、耐重性、耐酸性が高い鉄平石。
そして薄くできる特性を活かし、屋根に葺かれてきた素材でもあります。
b0186729_16501712.jpg


そして最後に訪れたのは、茅野市にある『神長官守矢資料館』。
現代的な建築における鉄平石の使い方を見学。設計は藤森照信氏+内田祥士氏。
屋根には、鉄平石が葺かれています。
b0186729_1650354.jpg


飛び石のように敷かれた鉄平石のアプローチ。
分岐点には、水路を跨ぐブリッジも兼ねて巨大な鉄平石を配置。
その巨大な石と建物の間にも大きな鉄平石が2枚鎮座しておりました。
b0186729_16505515.jpg


鉄平石が他の石と異なるのは、岩石を切り出すのではなく、割り出すこと。
そのため、形、大きさ、厚みという点において、同じものはありません。
工業製品化された建材に慣れた近代的な建設現場では、扱うのが難しい素材かもしれませんが、
そこに手づくり、モノづくりの新たな可能性を感じる素材でありました。

次回9月は『瓦』の探訪、高崎に向かいます。

根來宏典/根來宏典建築研究所
[PR]
by iezukuri-school | 2017-07-24 17:12 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第9期2年生 第2回「植木」

b0186729_12593533.jpg
第9期2年生、
素材を探訪する授業が本格的に始まりました。

6月17日(土)第2回目「植木」の授業風景のレポートです。
講師は川口通正建築研究所の川口通正先生です。
植木の町「川口市安行」をアチラこちらと歩いて植木について勉強します。

最初、駅前にて川口先生より今回のルートの説明と
せっかく授業として参加しているのだから
最低10種は樹木、下草の名前は覚えるようにとお題を課せられました。

まず初めに伺ったのが三朋緑化さん。ここは一般のお客さんも買いに来られるお店です。
樹木やお花について流行があることや昨今の業界の状況など、お話しを伺いました。

b0186729_12165646.jpg

途中、川口先生が手掛けられた家の住まい手さんも飛び入り参加され、
近くに住んでらっしゃるとのことで裏道を散策。

b0186729_12282307.jpg
b0186729_12285446.jpg

その後、2か所ほど、
生垣や竹の種類が多い植物園、樹木の販売所をめぐり、
お昼休憩。

お昼を食べた後、
植木について川口先生よりミニ講義。
高木、中木、低木、下草。ちょっとしたテクニック。植木屋さん用語。
などなど、
それぞれ興味深く感じた内容はそれぞれかと思います。
その中のひとつ、
1本の木を生かすため(根付かせるため)に3本植える。
ちょっとかわいそうだけど
メインの木の為に2本は枯れても良いと考え植えるテクニックだそうです。

b0186729_12313564.jpg
b0186729_12531437.jpg
b0186729_12585714.jpg
ミニ講義の後は、
庭に関する資材を扱う石屋さんへ
ちょっとした石を使うときのテクニックなども教えていただき、

最後は川口先生が設計された家へ。
最初の写真がその家の前で撮影させて頂いたものですが、
実際に今日みてきた植栽たちが、
どのように使われ生かされているか、
目で見て、
肌で感じることができたのではないでしょうか。

福田建築設計事務所/福田
一部写真/小野育代建築設計事務所/小野育代

[PR]
by iezukuri-school | 2017-06-21 13:11 | 2年の授業風景 | Comments(0)

2年生第1回目「素材」

b0186729_5553140.jpg

5月20日(土)、家づくり学校2年生「素材」の授業がありました。

2年生は、教室から飛び出し、素材や物づくりの現場を訪ねるカリキュラム。
例年ですと、初回から外に出かけての見学会になっていたのですが、
今年は始めに「何故そのような授業を行うのか?」というガイダンスを教室で行い、
2回目から出かけようとなりました。
講師は、泉幸甫先生です。

「自然素材って良いよね」「手づくりって良いよね」って話が、よくあります。
泉先生自身もそのような住宅設計を手掛けてきたわけですが、
決して工業化を否定しているわけではありません。
自然素材や手づくりの素材を扱うことの難しさを、
住宅産業の歴史的な流れ、豊富な経験の中で解説。

それに対し、自分はどう立ち向かってきたのか。
「職人的な世界感」と「機械・プレキャスト的な世界観」を二項対立的に捉えるのではなく、
工業化の良い所は取り入れつつ、新たな設計手法を模索しつつ、
その狭間で生きる住宅設計者として、今後の世界観へと導いてくれたように思います。

さてさて今年は、植木、石、瓦、建具、木材、古材・再生素材の産地や技術を探訪します。
知らない世界を知るということは大切なことなのですが、より実践的に考えた場合、
知ったことをどう実務に結び付けることが出来るかというビジョンが必要。

そんな住宅設計者の在り方を考えさせられる授業でした。
早く教室を飛び出したいという気持ちが高まったことと思います。

根來宏典/根來宏典建築研究所
[PR]
by iezukuri-school | 2017-05-23 17:25 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第8期2年生 第8回「古建築」

b0186729_11243534.jpg

1月14日(土)、家づくり学校2年生「古建築」の授業がありました。

引率講師は、山本成一郎先生と石黒隆康先生。
行き先は、信州の鎌倉とも言われる「塩田平」。
国宝や重要文化財が残る歴史あるエリアです。

まず初めに向かったのは、国宝『大法寺三重塔』。
プロポーションが美しい建築です。
1階から3階にいくに従って、塔の幅が小さくなっています。
これを「逓減率」といい、時代の古い塔は値が大きく、新しいほど小さいのだそうです。

柱と柱は、長押で結ばれています。
頭の高さにあるものを「内法長押」、腰のあたりにあるものを「腰長押」、
縁の上にあるものを「縁長押」と呼ぶそうです。
b0186729_11245232.jpg

この長押工法が採用されるようになった後、建物の耐震性が高まり、
後世に残る現存率も高まりました。

続いて訪れたのは、国宝『安楽寺八角三重塔』。中央には、八角の須弥壇に仏像が鎮座。
一見すると四重塔に見えますが、最下段に大きな裳階(もこし)を付けた三重塔。
塔の中心を基点に、垂木を放射状に掛けた扇垂木。手間の掛かる仕事です。
b0186729_11252511.jpg

こちらは、特別に内部を見学させていただくことができました。
内部は、内陣と外陣に分かれ、八本の柱で仕切られています。
弓欄間から漏れる僅かな光は、お釈迦様のお顔を照らします。
b0186729_11254749.jpg

最後に訪れたのは、国指定重要文化財『中禅寺薬師堂』。
薬師堂の建立は今から800年前、信州最古の建物であります。
方三間の阿弥陀堂。屋根は茅葺で、頂上には宝珠が載っています。
b0186729_11261754.jpg

こちらも特別に、内部を見学させてもらうことができました。
内部には四天柱が立ち、その内外で内陣と外陣に分かれています。
内陣は格天井、外陣は垂木を表す化粧屋根裏となっています。
b0186729_11264784.jpg

国宝に指定されている建造物は、日本全国に221か所あります。
もちろん関西地方(奈良64、京都50、滋賀22、兵庫11、和歌山7、大阪5)に多く、
その数は、159か所にも登ります。

東京近県ですと、福島1、栃木7、群馬1、埼玉1、茨城0、千葉0、東京2、神奈川1、
山梨2、長野5といった感じです。

国宝級の建造物を建てるためには、技術力が必要ですし、
もちろん財力も必要だったことでしょう。
そして、それらを残す文化や時代背景も重要になってきます。

そう考えてみると、首都圏で国宝級の建造物を見学することは、
貴重な体験ですし、学ぶことの多い機会となりました。

根來宏典/根來宏典建築研究所
[PR]
by iezukuri-school | 2017-01-20 11:42 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第8期2年生 第7回「木材」 

b0186729_23584050.jpg

家づくり学校2年生「木材」の授業風景レポートです。

講師はアトリエフルカワの古川泰司先生。
埼玉県秩父の山へ向かいました。

b0186729_07272.jpg

先ず最初にお会いしたのは、きこりの上林さん。
日本のきこり100人にも選ばれたことのある、すごい方。
そんなすごい方なのに、とても気さくで、木の事を語り始めたら止まらない。
きこりのお仕事の事、山のこと、木の事、林業のこと、あれやこれやと、面白おかしくも為になるお話に、学生たちもメモを取るのに必死でした。

b0186729_0122625.jpg

b0186729_013367.jpg

授業の為に杉を1本伐採して頂くところの見学させて頂きました。
上林さんの身のこなしの軽いこと。最初の写真のようにかなり斜度のある山をヒョイヒョイと登ってあっという間にチェーンソーを操って、切り倒すところを見せて頂きました。
切り倒された杉の木の断面はとてもみずみずしく、きれい。

次に伺ったのは金子製材さんへ、
b0186729_020168.jpg

山で切り倒した木を柱や板材へと加工する工場です。
金子製材さんは日本でも数少ないJAS認定の構造材を製材できる工場です。
最初にレクチャーを受けたテーブルの上にあるのは、ヤング係数を計測する機械。
日本の林業の事、木材の流通の事、製材にたいする考え方や、苦労されていることなど、資料を見ずにスラスラと具体的な数字や事例を交えながらお話しされる金子社長の姿は木材に対する思いをとても感じられ勉強になりました。
b0186729_0331589.jpg

b0186729_0333348.jpg

b0186729_0335752.jpg


伐採から製材という過程を見学したのちに伺ったのは、
講師の古川先生が設計された、「わらしべの里・共同保育所」へ。
国産木材をふんだんに使った建築の見学です。
b0186729_037969.jpg

b0186729_0372719.jpg

燃え代設計により木の架構が美しい建物でした。お迎えを待つ子供たちが楽しそうに遊んでいる姿が印象的で、うちの近くにもこのような施設があったらと思う、いごごちのよさそうな保育所でした。

b0186729_0495260.jpg

朝から夜まで、まるまる1日、山と木に触れ合う授業となりました。

福田建築設計事務所/福田隆一
[PR]
by iezukuri-school | 2016-12-23 00:59 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第8期2年生 第6回「左官」

b0186729_1635424.jpg

11月12日(土)、家づくり学校2年生「左官」の授業がありました。

講師は、泉幸甫先生。
指南役には、上遠野健吾さん、古川元章さん、清水友宏さんの左官職人お三方。
集まったのは、東中野にある「富沢建材」さんです。
ここは、左官屋さんが材料を買いに集まってくる場所なのですが、
材料だけでなく、人が集まり、情報が集まり、今では左官のメッカと言われております。

左官のお話を聞いた後、左官技法の一つ「掻き落とし」を体験。
基材は、白セメント:石灰=2:1。
セメントは硬化が早く、石灰は硬化を遅らせる効果があるそうです。
b0186729_16839100.jpg

色を付けたい人には、セメント、漆喰、石膏プラスター用の顔料を準備。
粒子が細かく、耐候性・変色・退色に優れ、着色力が強いので、とても便利な材料です。
b0186729_1692481.jpg

各自が仕上がりを思い描きつつ、基材に骨材(土や石)を混ぜて、配合していきます。
b0186729_1693910.jpg

水を少しづつ加えながら混ぜます。
好みでワラを加えても良し。ワラはひび割れ防止の役目も担います。
b0186729_1610863.jpg

木枠に塗り込み、乾かします。時間が掛かりそうなので、ストーブの前で。
みんなのを並べると、色とりどりで、それぞれの個性を感じますね。
左官は水の引き具合が重要で、掻き落としのタイミングを見計らいます。
b0186729_16103821.jpg

乾かしている間は、富沢建材さんの中にある左官展示室を拝見。
左官界の巨匠・榎本新吉監修によるもので、現代を代表する左官職人の作品が展示。
大河ドラマ「真田丸」の題字を左官で描いた挾土秀平さんや、
上遠野さんの師匠・平岡祐紀さんの作品などが飾られています。
b0186729_1612715.jpg

少し時間があるとのことで、素人でもできそうな「漆喰磨き」にも挑戦。
磨きとは、鏝を何度も何度も当てて、表面を密にし、磨き上げる技法。
上手く仕上がると、ピッカピカに光った艶が表現できます。
肌理の細かな石灰クリームを使い、色づけは掻き落としの時と同じ顔料を使いました。
ポイントは、顔料をよ~く混ぜること。そして薄くぬること。
b0186729_16124896.jpg

下塗りの状態で、一度乾かします。みんな個性豊か。
2度塗りの予定だったのです、一度塗りでも大丈夫でしょうとのこと。
鏝は硬いものを使用。あとは磨くのみ。と言いたいところですが、鏝で磨くのは難しい、、、
左官職人さん曰く「手で磨いた方が、綺麗に仕上がりますよ」と、、、
b0186729_16144321.jpg

いよいよ掻き落としの作業。どんな表情が現れるかワクワクします。
掻き落としの道具は、荒々しく仕上げたければ荒々しい剣山、繊細に仕上げたければ繊細な櫛。
道具だけでなく、力加減や櫛の引き方でも表情が変わるのが手に取るように分かります。
b0186729_16154365.jpg

さて、ワークショップで得た成果(掻き落とし、漆喰磨き)を並べてお披露目会。
そして、先生方の講評。磨きが上手くいった人もいますね。
左官の世界、その楽しさに、すっかり魅了されてしまいました。
b0186729_1616844.jpg

根來宏典/根來宏典建築研究所
[PR]
by iezukuri-school | 2016-11-18 17:08 | 2年の授業風景 | Comments(0)


NPO法人・家づくりの会が運営する「家づくり学校」の専用ブログです


by iezukuri-school

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28

外部リンク

検索

カテゴリ

全体
お知らせ
1年の授業風景
2年の授業風景
3年の授業風景
4年の授業風景
イベント
報告
未分類

以前の記事

2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 03月
more...

最新のコメント

第一期、第二期では、八戸..
by iezukuri-school at 17:00
寒い中現場公開に来ていた..
by 藤原昭夫 at 10:43
藤原さんには、新年早々、..
by 小疇友子 at 10:37
先日の「構造」は面白かっ..
by 泉幸甫 at 15:25
田中Nです。 田中 康..
by nt-lab at 09:06

記事ランキング

ブログジャンル

スクール・セミナー
建築・プロダクト

画像一覧