課外授業「京都建築見学」

6月8日(日)は、学生&OB達と京都にある「詩仙堂」と「曼殊院」に行ってきました。
家づくり学校の課外授業「京都建築見学」として、泉幸甫校長が企画したものです。
まずは『詩仙堂』。
入口はの山門「小有洞」は、杮葺きの詫びた趣。
気が付かず、そのまま通り過ぎてしまいそう、、、ひっそりとした佇まいです。
奥に延びる、石段と竹藪に、心惹き込まれます。
内部に入って、座敷から見る風景。
詩仙堂といえば、サツキの刈り込み。この時期、見ごろなのです。

室内の暗さ、外の明るさとのコントラストとか、
開口部や欄間や庇といった低さとのプロポーションとか、
空間の奥行きといったところに、心が落ち着きます。
上の写真は、詩仙の間から見る風景。縁側の入隅に設けられた三角形の竹縁が良いですね。
空間構成のアクセントとして効いている。庭との一体感とか、遊びとか、空間の流れとか。
下がり壁(欄間)も良いですね。階層性とか、薄さとか、障子の設えに、絶妙な関係性をもたせ、
空間の「仕切り」と「連続性」の作り方が、見事です。
これらを統合するには、このディテールがあってのこと。
まず柱が細いこと。そして柱と敷居のズラし方に品があること。鴨居も同様です。
柱と敷居、鴨居の納まり、プロポーションが、ほんとうに美しい。

「至楽巣」の床の間。和室の設えには、作法(ルール)があります
この床の間は、その作法を破っている・・・。
でも、この方が自然ですし、品を感じるし、私もこの方が良いと思います。
こんな風に破っても良いんだというのは、大きな収穫でした。

続いて「曼殊院」。詩仙堂と比べて、書院は広く、天井も高い。

見どころは、大書院と小書院の雁行プランと、その南面に広がる枯山水。
これらの演出を美しく見せているのが軒先の意匠。
樋が設けられていないのも、その一つ。

当然、そのためには建築的な工夫があるはずです。
足元を見ると、床下に土が盛られ、土台の位置が高く作られていることが分かります。
軒先の雨が落ちるラインに沿って砂利が敷かれ、
その延長線上に「梟の手水鉢」が置かれるなどの遊びも楽しい仕掛けだと思います。

楽しみにしていたのが、名席「八窓軒」。
解説つきで入席したのですが、感動はイマ一つ・・・。
8つの窓など意匠的に凝ってはいるのですが、答えを聞いてしまうとね(苦笑)
やはり茶室は、自分で読み解くものだな~と思った次第です。
そこに主人との会話に楽しみが広がるのだろうな~と。
ちなみに八窓軒は撮影禁止です。
物凄い、雨が降ってきました・・・しかも、結構長い時間。
曼殊院といえば、秋の紅葉。でも、雨の曼殊院も素敵でした。
軒先から流れ落ちる滝のような景色は圧巻。
やはり深い庇って、良いな~と感慨に耽りながら、水の流れを観察する機会に恵まれたのでした。

根來宏典建築研究所/根來宏典
by iezukuri-school
| 2014-06-23 10:30
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