第6期 2年生 第2回 「家具」

6月28日(土)は2年生の第2回「家具(鉄材・木材)」の授業がありました。
引率講師は、赤沼修先生と当方、杉浦充がスタッフ兼任で行わせていただきました。
東急多摩川線「矢口渡」駅に集合してスタートです。

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都内では貴重になりつつありましょうか、駅舎及びホーム上屋も木造です。
積まれた大谷石もいい味を醸しだしていました。

昔は必ずといっていいほど水飲み場がホーム内にありましたが、
今ではこれも失われつつありそうです。なんとここは陶器製でした。
また、その右側に続く木製の壁面一体型のベンチもホッとする情景ですね。


さて、はじめから脱線してしまいましたが、先ずは金属金物の製作を行う「大井工場」
さんへ徒歩で向かいます。
かの、イサム・ノグチの一連の作品であったり、アントニン・レーモンドや吉村順三など、
歴代の建築家の作品に代々関わってきたとても歴史のある会社です。

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明治24年の錺職を営まれていたご先祖様から数えて4代目にあたります
大井光太郎さんに、会社の歴史から過去に実際に製作した事例写真とともに、
各金属素材の特性やその物の造り方を、偉人らのエピソードも交えつつお話しいただきました。

当方も家具等を製作いただいておりますが、この会社をご紹介いただいた建築家の
宮原輝夫さんにも特別ゲストとして参加いただき、建築の金属部分であるサッシからコート
掛けに至るまで大井工場さんとのお仕事についてお話しいただきました。

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多くの加工機械がありますが、こちらは金属を曲げる機械です。
実際の仕組みを語っていただいています。

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大きなサッシや扉,手摺りから、小さなものはこんなものまでも…設計者のイメージを実現
するための具体的な方法にはマニュアルはありません。現在の機材や今までの経験に
技術が伴って、あらゆる方法を思考します。
ほんの一部しかお見せできませんが、美を追究するあまり、想像を絶するような工程や
時間をかけて造られたものまで多くの貴重なお話しをいただきました。
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次はバスで1号線を北上し、ミネルバ本社及び関連会社のエリアントへ向かいます。
何れも、ソファや椅子等の製作や修復に長けており、アルフレックスやカッシーナ等の
ライセンス生産なども行っている会社です。

先ずはエリアントにて副社長の宮本茂さんにレクチャーいただきます。

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クッション材には伝統的な椰子から現代のウレタン素材、そして金属のスプリングまで
用途に応じて様々な組み合わせが行われます。

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皆さん内部の構造に興味津々です。

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こちらはメンテナンス中の椅子ですが造形が目にとまりました。
金属フレームを用いることでデザインの可能性が広がりますが、この工場は木材の加工
専門ですので、金属部分の製作は、先の金属加工専門の工場とのタイアップによって一つの
ものが出来上がる訳です。

奧にはかのバルセロナチェアが内部のクッション下地が剥き出しにのまま置かれていました。
仕上げの皮の傷みが進み、新しいものに張り替えるとのこと。

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上階に上がりミシンが沢山並んだ部屋に移りました。先程のバルセロナチェアーの意匠
を忠実に再現するために合皮で試し縫いされたものが左手前に置かれています。
下段の写真は本物の皮革とリアル合成皮革(PVC)に実際に触れて違いを確かめている
ところです。見分けがつきましたでしょうか?


最後にミネルバ本社へ徒歩で移動します。
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代表者である宮本茂紀さんは「黄綬褒章」も受章していらっしゃる方です。

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とある良家に受け継がれる100年以上前に造られた椅子の修復について、
スライドを用いてエピソードを交えながらお話しいただきました。
卓上には実際に修復中の実物が置かれています。

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部屋の周囲には数々の著名建築家やデザイナーによる椅子が並び、
それらに座って講義を受けることに。
写真はそのなかの一つですが、こちらは今話題の女性建築家
ザハ・ハディッドのデザインによる椅子でした。


この場では各詳細内容はとても紹介しきれません。ご興味をお持ちの方は「家づくり学校」
を実際に体験してみてはいかがでしょうか?
実際の加工現場の体験は今後の設計やデザインにとても役に立つことでしょう。


そして、お決まりの懇親会へ。

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「家づくりの会」会員である建築家の吉原健一さんと協働されている恵美子さん(奥様)が、
最終会場から徒歩圏内ということもあって、ご自邸兼設計事務所を開放していただくことに
なりました。

狭小敷地ながらも数々の工夫により、開放的で魅力的な心地良い住まいを体感する機会に
恵まれました。
限られたスペースですがとても素敵な路地をもつアプローチですね。

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当方は半地下の妙に落ち着く事務所のテーブルにて、吉原ご夫妻の美味しい手づくりの料理と共に、
深夜まで居座ってしまいました。



充総合計画/杉浦 充
by iezukuri-school | 2014-07-01 15:21 | Comments(0)


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