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10期2年生 第6回「木材」

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11月17日(土)家づくり学校2年生の6回目『木材』の授業がありました。行き先は神奈川県小田原市、引率講師は古川泰司先生になります。

木材を深く知るため、まずは山へと登ります。旧小田原藩の藩有林を受け継ぐ山。山主さんであり、林業家である辻村さんの声に耳を傾けます。下草が生い茂り、管理の行き届いた美しい山林。戦後に植えられた木は切り時ですし、樹齢300年クラスの大木まで植わっています。台風の影響で荒々しさ残るところもありますが、それが自然の姿であり、山を管理する上での自然と対峙する様相を垣間見ることができました。水の豊富さが、この山の特徴。水源となる湧水を見ることが出来、美味しい水を戴くことができるのです。こちらの山に植わっている樹々は、スギ対ヒノキが7対3。スギは水が豊富に必要なので水脈に近いところ、ヒノキは尾根側に植わっています。
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こちらは大正6年に作られた水力発電の遺構。水の豊富さを物語る痕跡です。ゴミを取り除く調整池。戦時に金属類は盗まれ、石組だけが残っています。その石組にはヒビが入っておらず、保存状態が良い。江戸時代の石垣を組む技術が、ここでも活かされているのだと思われます。
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次に訪れたのは『森林組合』の土場。辻村さんの山林のような山々から切り出された丸太が集まってくる場所であり、その丸太を製材所の方々が買い付けにくる場所であります。スギとヒノキの皮や葉っぱの違いの解説に耳を傾けます。基本的なことではありますが、机上で仕事している設計者にとっては新鮮なこと。スギとヒノキの違いを知らない人も多いので、念のため。
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午後から訪れたのは『大山材木店』の製材所。丸太を角材や板に加工するところ。大規模な製材所では最新設備が導入され、オートメーション化が進んでいますが、こちらは比較的に小さな規模で、町場の製材所といった感じです。丸太の製材には3人がかり。大規模な所、小規模な所、それぞれにメリット、デメリットがあります。そういったことを、大山さんの所で学べたように思います。今回は、特別に樹齢280年の丸太を目の前で挽いてくれることに。丸太の断面を見て、まず木取りを決めるのですが、教科書的にいうと、いかに合理的に丸太を分割するかということになります。
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しかし実際に挽いてみると、木の持つ一本一本の個性に気づきます。見事な柾目が出てきました。大山さん親子は、これは建具に使おうと話し合います。建具は反りやすく、人目に触れる部位ですので、こういう真っ直ぐで良質な柾目は希少価値が高いのです。流れ作業になると、一つ一つの素材の特性を見極めることができなくなりますね。目の前で繰り広げられる大山さん親子の生々しく、人間的、職人的な仕事風景を目の当たりにする機会に恵まれました。丸太の木取りはもちろんのこと、挽いてみないと分からない素材の特質を見極め、その使い道を相談しながら木を使える製材所として貴重な存在かと思います。
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続いて訪れたのは小田原の宮大工『芹澤棟梁』の作業場。ちなみに芹澤さんは、この4月~9月にかけて森美術館で開催されていた「建築の日本展」において『丹下健三自邸』の1/3スケールの再現模型を製作されたお方。素材のこと、道具のこと、技術のこと等をお聞きします。近年の一般住宅では、現場でカンナを使う大工さんの姿が見られなくなってきておりますね。既製品によるキット化住宅が主流ですので、、、棟梁の手によると、指一本でもカンナは引けます。その厚みは8ミクロンほど、サランラップよりも薄いのです。
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我々が認識しているカンナは、台カンナ(先の写真)と呼ばれ、室町時代中頃に中国より伝わったと考えられております。それ以前に日本で使われていた木を削る道具は、こちらの槍カンナ。棟梁曰く「台カンナが入って来て、槍カンナを使える大工がいなくなった」と。槍カンナの技術を披露してくれました。流れるような美しい動き、その雄姿は勇ましい。
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続いて訪れたのは、国の登録有形文化財『清閑亭』です。明治39年に建てられた黒田長成侯爵の別邸。平屋と2階建ての家屋が雁行して連なる数寄屋造り。晴れた日、2階からは真鶴半島、大島、相模湾、箱根山が一望できるロケーション。内部の板絵襖、欄間、網代天井、鏡天井といった優れた意匠を拝見することができました。
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天気に恵まれ、清々しい一日。散歩がてらに、小田原城内に位置する報徳二宮神社の大鳥居も見学。午前中拝見させてもらった辻村さんの山で切り出された樹齢280年の柱。昨年、88年ぶりに新たに建立されたそうです。

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最後に訪れたのは木の専門店『竹広林業』さん。一日かけて木材の川上から川下までを見学してきたのですが、まずは古川先生によるその流通と役目に関する講義。そして竹広林業の高木さんを中心に意見交換が進行。

今回の見学会には、小田原市役所の農林振興係の方々も協力下さいました。林業関係窓口は、県単位では持ち合わせているものの、一般的に市町村単位ではありません。そういった意味でも、小田原市の林業振興に対する意識の高さが伺えます。全体的な感想としては、川上から川下までの連携、官民一体となっての取り組みが好印象。首都圏近くに、こんな産地があることが嬉しく、また足を運びたく思います。

根來宏典/根來宏典建築研究所

by iezukuri-school | 2018-11-22 14:31 | 2年の授業風景 | Comments(0)


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