10期2年生 第7回「瓦」
12月15日(土)家づくり学校2年生の7回目『瓦』の授業がありました。行き先は群馬県西部。引率講師は家づくりの会の徳井正樹先生、世話役は屋根舞台の小林保さんです。
まず向かったのは『富岡商工会議所』。2018年4月竣工、設計は手塚建築研究所。内部は菱形の木軸で組まれた斬新な空間なのですが、屋根には瓦が葺かれ、街並みと調和しています。隣には白い蔵。旧呉服問屋の袖蔵をリノベーションし、ギャラリーとして商工会議所と一体的に活用。立派な鬼瓦と棟瓦の意匠が粋。新築の商工会議所の方は近代的な瓦、蔵リノベの方は近代的な瓦をだるま窯に入れて一手間加えた瓦。その両方を横並びに見れたのは良い機会でした。
続いて『富岡製糸場』。言わずと知れたと世界遺産&国宝。明治5年創業、棟長100m超の木骨煉瓦造も魅力なのですが、今回の目的は瓦。現在、西置繭所が改修中。幸いなことに、その様子を間近で見ることが出来ます。その屋根の改修に当たっているのが、今回の勉強会の世話役・小林さんたち。文化財というのは伝統を残す意義もありますゆえ、その技術が不合理であっても守らねばなりません。それゆえの難しい側面もあるようですが、学ぶことも多く、そんな生のお声を聞く機会に恵まれました。
場所を甘楽郡甘楽町に移して『Gallery 瓦窯』。こちらでは瓦の製造小史を学びます。甘楽町を拠点とした「新屋根開拓集団 屋根舞台(2000年結成)」という瓦職人と建築家で構成する集団があります。日本の伝統的な素材である瓦を、現代の住まいや暮らしの中に取り入れて行こうと提案している集団なのですが、その瓦産業の歴史を伝えるギャラリー。こちらは昭和40年代に活躍した煉瓦造瓦窯のトンネル。トロッコに乗って内部を見学。群馬県西部は藤岡瓦で知られる瓦の産地。富岡製糸場が出来た明治時代に飛躍しましたが、戦後は量産瓦に押され、窯の火は消えて行ったそうです。その3代目、4代目が、いま熱い思いを持って立ち上がっています。
こちらは屋根舞台の方々が復活させた「平成だるま窯」。昭和40年代までの500年間、瓦製造を担った「だるま窯」の平成復刻窯。だるまさんが座禅を組んでいるように見えることが名前の由来だそうです。形だけの飾り物ではなく、実際に瓦を生産をする窯。2005年に完成。一度に950枚の瓦が焼けるそうです。ちょうど焼き上がった瓦を窯から出している場に立ち会うことができました。効率化による量産瓦は高度な技術の進歩なのですが、だるま窯で焼かれた瓦には力強さと素朴な味わいを感じることができます。
続いて高崎市に場所を移し、引率講師の徳井さんの最新作を見学。個人宅なので写真は控えますが、素晴らしい住まいでした。
最後は徳井さんのご自宅を見学。築24年、屋根には達磨窯で焼かれた瓦が葺かれています。一日歩き回った瓦を巡る旅、ここでは腰を据えて質問会。徳井さん、小林さんの両氏が、これまでの歩みから始まり、技術的なことまで。熱い思いを持って力説してくれました。
根來宏典/根來宏典建築研究所
by iezukuri-school
| 2018-12-21 20:52
| 2年の授業風景
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