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10期2年生 第8回「板金」

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1月19日(土)家づくり学校2年生の8回目「板金」の授業がありました。引率講師は家づくりの会の泉幸甫先生、特別講師として板金職人・新井勇司さんを迎え、会場提供はガルバリウム鋼板を扱うタニタハウジングウェアさん全面協力のもと実現した授業です。

今期10年目の学校なのですが、板金の授業をするのは初めて。この日は2年生(4年制)の授業なのですが、上の学年やOB&OGも受けたい授業はスポット受講することを良しとしています。10年目となると、それ相応の修了生を輩出しており、今回受講希望者を募ったところ50人(うち2年生16人)となり、その多さにちょっと焦りました、、、それでも新井さんが快く引き受けて下さりました。
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たくさん集まったのは、初めての授業ということもあるかもしれませんが、実は新井人気。板金の仕事はなくならないと思うのですが、既製品化が進み、今の板金はその職人技術が必要なくなってきております。そんな中でも新井さんは当代切っての技術の持ち主。というのは熱心な受講生は知っており、新井さんの仕事の多忙さも知っており、そんな新井さんの話が聞ける機会はそうそうあることではありません。

前半の基礎知識編では「板金のいろは」として、材質(ガルバ、ステンレス、銅板等)のこと、屋根の葺き方(立ハゼ、平葺き、段葺き、一文字葺き等)のこと、葺き方と屋根勾配の関係(瑕疵保証や注意点)のこと、材料や働き幅(コスト含め)のこと、板金のディテールや名称のこと、そして設計者と共に考えて作るための仕様や施工事例のこと、さらに涙なくしては伝えられない苦労話まで。
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納まりの質問においては、口で説明するのは難しい、、、今回の授業では新井さんの息子さんも同伴して下さり、その場で板金を折って、実例として見せてくれました。既製品化が進むと、このような臨機応変に対応ができる職人さんがいなくなるかもしれませんね。。。こちらは基礎編終了後の休憩時間の様子。受講生たちの熱意が収まらず、それに応じてくれる息子さん。そんな脇では、授業で使ったものを片付け、後半の準備に取り掛かる新井さん。段取りはじめ、とにかく無駄のない動きが印象的。そういった習慣が、普段の仕事から身についているんだと思います。
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こちらは息子さんが装備していた腰袋。凄い重装備ですね、、、一度屋根に上がると、下に降りたくないので、持てる工具はできるだけ持って上がるのだそうです。息子さんは現在25歳。新井さんとの談話で「継がれるんですか?」という話になるのですが、明言されませんでした。その意図は私には分かりませんが、ポロっと「あいつ上手いよ、綺麗に曲げるよ」と零していた一言が印象的でした。充実すぎる前半戦、聞きたいこと盛りだくさんの内容でございました。

場所を会議室から演習できるスペースに移し、後半「板金の納まり」の実践編。ここでは会場を提供いただいたタニタさんの商品にも目移り。タニタさんは建築家とのコラボに力を入れており、雨樋、鎖樋、外壁、屋根、換気棟、雪止め、、、ガルバリウム鋼板をはじめ銅板や緑青銅板のことなら何でも相談できるお相手なのです。
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机に並べられた鋼板や工具。まずはそれを使って、切る、曲げる、叩くの体験。よく使われる鋼板の厚みは、0.35mmと0.4mm。その違いを肌で感じていきます。鋼板の厚みを指定するのも設計者の役割なのですが、何も考えず、、、厚い方が良いと思い、、、設計図書に記載している設計者も多いかと思われます。その使い分けを考える良い体験になったかと思います。
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そして納まりを考える施工体験。人数が多いので、8班に分かれて検討。事前に新井さんがトップライトのモデルを準備下さいました。紙を鋼板に見立て、切ったり曲げたりして、細部の納まりを自ら考える内容。理論的に考える班、とにかく手を動かしてみる班、スケッチを重ねる班、固まってフリーズしている班、、、それぞれの班に個性があって面白い。
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それぞれの班の発表が行われ、新井さんに耳を傾けてもらうのですが、新井さんはどの案も否定はしません。新井さんも自身が考える解答を準備してきて下さったのですが、それも模範とは言わず一つの回答事例だと。要は雨が入らなければ良い訳で、その方法は一つではないと言います。とはいえ手間や経済的な合理性、安心感、意匠的な美しさは必要であり、そのためにはどうすれば良いかを設計者と一緒に考えるのが新井さんの世界。そう楽しそうに解説してくれました。

これだけの準備、、、新井さんは年末年始かなりの時間を割いてくれたに違いありません。学ぶこと、得ることの多い授業となり、すっかり板金の世界に魅了される一行。
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今回の実習では平葺きだったのですが、立ハゼの場合はどうか、、、用意周到な新井さん。流石の段取りです。この模型、分解してみると製作トップライトの模型にもなっておりました。近年はトップライトメーカーがあり、それを使えばその作り方を考える必要はないのですが、商品化される前は職人さんの手づくり。もちろん工業化も大切なことであり、商品に頼ることは悪いことではありません。ただ物事を考えなくなることは良くない。その商品の良し悪しを判断する物差しを持つことは大切。職人の世界を知ることは、こういった応用にも繋がり、設計の可能性を広げることになろうかと思いました。

根來宏典/根來宏典建築研究所

by iezukuri-school | 2019-01-22 18:00 | 2年の授業風景 | Comments(0)


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