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カテゴリ:2年の授業風景( 33 )

第11期2年生 第2回目「植木」

2年生2回目の講義は「植木」です。 講師は川口通正建築研究所 川口通正先生です。
今回私たちは「植木の街」埼玉県川口市安行を訪問しました。
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実際の植物を見て植物の特性について学び、高木・中木・低木・グランドカバーなど美しい外構を作るための基礎を学びます。
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川口先生が日頃の住宅設計の中で植栽をどのように使っているのか、考え方や具合的な使い方など丁寧に解説頂きました。造園・外構の専門書籍などでは決して学べない貴重な内容です。
残念ながら雨の中の視察となりましたが、川口先生の分かりやすい超実践的な講義に学生達は熱心に聞き入っていました。
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インターネットが普及しどんな情報でも簡単にアクセスできるこの時代に、私たち設計者は本当に自由になれたのでしょうか。外に出て実際に目で見て感じた経験こそが上質な情報として自分の中で蓄積され、実際に設計する場面において役に立つのではないかと思います。私自身そんな事を思う一日となりました。

私たちは1年間の様々な場所を訪れ、設計の実務に役立つ良質な経験を蓄積して行きます。


萱沼宏記 / PLUSdesign


by iezukuri-school | 2019-06-20 11:43 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第11期2年生 第1回「素材」

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第11期2年生 第1回「素材」

2年生の初回の授業が5月18日(土)に行われました。
講師は家づくり学校の校長でもある泉幸甫先生です。
2年生の授業は素材を訪ね歩く授業内容となっているのですが、初回はなぜ素材を訪ね歩くのか、その道しるべ・心がまえとなるような授業内容です。
住宅についての生産論・計画論から、伝統的手法・現代的手法の違い、近代化や工業化によりその中で失ってしまうもの・得られるもの、その状況の中でどのように設計者として素材とどう向き合うべきか、どのような視点を持つべきか、とても考えさせられる授業でした。

福田隆一/福田建築設計事務所

by iezukuri-school | 2019-05-25 12:54 | 2年の授業風景 | Comments(0)

10期2年生 第8回「板金」

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1月19日(土)家づくり学校2年生の8回目「板金」の授業がありました。引率講師は家づくりの会の泉幸甫先生、特別講師として板金職人・新井勇司さんを迎え、会場提供はガルバリウム鋼板を扱うタニタハウジングウェアさん全面協力のもと実現した授業です。

今期10年目の学校なのですが、板金の授業をするのは初めて。この日は2年生(4年制)の授業なのですが、上の学年やOB&OGも受けたい授業はスポット受講することを良しとしています。10年目となると、それ相応の修了生を輩出しており、今回受講希望者を募ったところ50人(うち2年生16人)となり、その多さにちょっと焦りました、、、それでも新井さんが快く引き受けて下さりました。
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たくさん集まったのは、初めての授業ということもあるかもしれませんが、実は新井人気。板金の仕事はなくならないと思うのですが、既製品化が進み、今の板金はその職人技術が必要なくなってきております。そんな中でも新井さんは当代切っての技術の持ち主。というのは熱心な受講生は知っており、新井さんの仕事の多忙さも知っており、そんな新井さんの話が聞ける機会はそうそうあることではありません。

前半の基礎知識編では「板金のいろは」として、材質(ガルバ、ステンレス、銅板等)のこと、屋根の葺き方(立ハゼ、平葺き、段葺き、一文字葺き等)のこと、葺き方と屋根勾配の関係(瑕疵保証や注意点)のこと、材料や働き幅(コスト含め)のこと、板金のディテールや名称のこと、そして設計者と共に考えて作るための仕様や施工事例のこと、さらに涙なくしては伝えられない苦労話まで。
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納まりの質問においては、口で説明するのは難しい、、、今回の授業では新井さんの息子さんも同伴して下さり、その場で板金を折って、実例として見せてくれました。既製品化が進むと、このような臨機応変に対応ができる職人さんがいなくなるかもしれませんね。。。こちらは基礎編終了後の休憩時間の様子。受講生たちの熱意が収まらず、それに応じてくれる息子さん。そんな脇では、授業で使ったものを片付け、後半の準備に取り掛かる新井さん。段取りはじめ、とにかく無駄のない動きが印象的。そういった習慣が、普段の仕事から身についているんだと思います。
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こちらは息子さんが装備していた腰袋。凄い重装備ですね、、、一度屋根に上がると、下に降りたくないので、持てる工具はできるだけ持って上がるのだそうです。息子さんは現在25歳。新井さんとの談話で「継がれるんですか?」という話になるのですが、明言されませんでした。その意図は私には分かりませんが、ポロっと「あいつ上手いよ、綺麗に曲げるよ」と零していた一言が印象的でした。充実すぎる前半戦、聞きたいこと盛りだくさんの内容でございました。

場所を会議室から演習できるスペースに移し、後半「板金の納まり」の実践編。ここでは会場を提供いただいたタニタさんの商品にも目移り。タニタさんは建築家とのコラボに力を入れており、雨樋、鎖樋、外壁、屋根、換気棟、雪止め、、、ガルバリウム鋼板をはじめ銅板や緑青銅板のことなら何でも相談できるお相手なのです。
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机に並べられた鋼板や工具。まずはそれを使って、切る、曲げる、叩くの体験。よく使われる鋼板の厚みは、0.35mmと0.4mm。その違いを肌で感じていきます。鋼板の厚みを指定するのも設計者の役割なのですが、何も考えず、、、厚い方が良いと思い、、、設計図書に記載している設計者も多いかと思われます。その使い分けを考える良い体験になったかと思います。
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そして納まりを考える施工体験。人数が多いので、8班に分かれて検討。事前に新井さんがトップライトのモデルを準備下さいました。紙を鋼板に見立て、切ったり曲げたりして、細部の納まりを自ら考える内容。理論的に考える班、とにかく手を動かしてみる班、スケッチを重ねる班、固まってフリーズしている班、、、それぞれの班に個性があって面白い。
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それぞれの班の発表が行われ、新井さんに耳を傾けてもらうのですが、新井さんはどの案も否定はしません。新井さんも自身が考える解答を準備してきて下さったのですが、それも模範とは言わず一つの回答事例だと。要は雨が入らなければ良い訳で、その方法は一つではないと言います。とはいえ手間や経済的な合理性、安心感、意匠的な美しさは必要であり、そのためにはどうすれば良いかを設計者と一緒に考えるのが新井さんの世界。そう楽しそうに解説してくれました。

これだけの準備、、、新井さんは年末年始かなりの時間を割いてくれたに違いありません。学ぶこと、得ることの多い授業となり、すっかり板金の世界に魅了される一行。
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今回の実習では平葺きだったのですが、立ハゼの場合はどうか、、、用意周到な新井さん。流石の段取りです。この模型、分解してみると製作トップライトの模型にもなっておりました。近年はトップライトメーカーがあり、それを使えばその作り方を考える必要はないのですが、商品化される前は職人さんの手づくり。もちろん工業化も大切なことであり、商品に頼ることは悪いことではありません。ただ物事を考えなくなることは良くない。その商品の良し悪しを判断する物差しを持つことは大切。職人の世界を知ることは、こういった応用にも繋がり、設計の可能性を広げることになろうかと思いました。

根來宏典/根來宏典建築研究所

by iezukuri-school | 2019-01-22 18:00 | 2年の授業風景 | Comments(0)

10期2年生 第7回「瓦」

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12月15日(土)家づくり学校2年生の7回目『瓦』の授業がありました。行き先は群馬県西部。引率講師は家づくりの会の徳井正樹先生、世話役は屋根舞台の小林保さんです。

まず向かったのは『富岡商工会議所』。2018年4月竣工、設計は手塚建築研究所。内部は菱形の木軸で組まれた斬新な空間なのですが、屋根には瓦が葺かれ、街並みと調和しています。隣には白い蔵。旧呉服問屋の袖蔵をリノベーションし、ギャラリーとして商工会議所と一体的に活用。立派な鬼瓦と棟瓦の意匠が粋。新築の商工会議所の方は近代的な瓦、蔵リノベの方は近代的な瓦をだるま窯に入れて一手間加えた瓦。その両方を横並びに見れたのは良い機会でした。
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続いて『富岡製糸場』。言わずと知れたと世界遺産&国宝。明治5年創業、棟長100m超の木骨煉瓦造も魅力なのですが、今回の目的は瓦。現在、西置繭所が改修中。幸いなことに、その様子を間近で見ることが出来ます。その屋根の改修に当たっているのが、今回の勉強会の世話役・小林さんたち。文化財というのは伝統を残す意義もありますゆえ、その技術が不合理であっても守らねばなりません。それゆえの難しい側面もあるようですが、学ぶことも多く、そんな生のお声を聞く機会に恵まれました。
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場所を甘楽郡甘楽町に移して『Gallery 瓦窯』。こちらでは瓦の製造小史を学びます。甘楽町を拠点とした「新屋根開拓集団 屋根舞台(2000年結成)」という瓦職人と建築家で構成する集団があります。日本の伝統的な素材である瓦を、現代の住まいや暮らしの中に取り入れて行こうと提案している集団なのですが、その瓦産業の歴史を伝えるギャラリー。こちらは昭和40年代に活躍した煉瓦造瓦窯のトンネル。トロッコに乗って内部を見学。群馬県西部は藤岡瓦で知られる瓦の産地。富岡製糸場が出来た明治時代に飛躍しましたが、戦後は量産瓦に押され、窯の火は消えて行ったそうです。その3代目、4代目が、いま熱い思いを持って立ち上がっています。
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瓦の魅力を訪ねて、前半は公共的なもの、歴史的なものでしたが、後半は現代における住まいの事例を巡りました。世話役の小林さんのご自宅を見学。屋根はもちろんのこと、外壁にも瓦、土間にも瓦、飛石にも瓦、和室の炉縁や床の間にも瓦、薪ストーブの足元や背面にも瓦。瓦三昧なお宅。瓦の家というと和風といいますか、、、これだけ瓦を使うとコテコテといいますか、、、となりがちですが、センス良くまとめられており、上品な住まいを拝見。これでもか!という瓦量に圧倒。屋根だけでなく様々な部位にも使える瓦たちに魅了されました。
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こちらは屋根舞台の方々が復活させた「平成だるま窯」。昭和40年代までの500年間、瓦製造を担った「だるま窯」の平成復刻窯。だるまさんが座禅を組んでいるように見えることが名前の由来だそうです。形だけの飾り物ではなく、実際に瓦を生産をする窯。2005年に完成。一度に950枚の瓦が焼けるそうです。ちょうど焼き上がった瓦を窯から出している場に立ち会うことができました。効率化による量産瓦は高度な技術の進歩なのですが、だるま窯で焼かれた瓦には力強さと素朴な味わいを感じることができます。

続いて高崎市に場所を移し、引率講師の徳井さんの最新作を見学。個人宅なので写真は控えますが、素晴らしい住まいでした。
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最後は徳井さんのご自宅を見学。築24年、屋根には達磨窯で焼かれた瓦が葺かれています。一日歩き回った瓦を巡る旅、ここでは腰を据えて質問会。徳井さん、小林さんの両氏が、これまでの歩みから始まり、技術的なことまで。熱い思いを持って力説してくれました。

根來宏典/根來宏典建築研究所

by iezukuri-school | 2018-12-21 20:52 | 2年の授業風景 | Comments(1)

10期2年生 第6回「木材」

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11月17日(土)家づくり学校2年生の6回目『木材』の授業がありました。行き先は神奈川県小田原市、引率講師は古川泰司先生になります。

木材を深く知るため、まずは山へと登ります。旧小田原藩の藩有林を受け継ぐ山。山主さんであり、林業家である辻村さんの声に耳を傾けます。下草が生い茂り、管理の行き届いた美しい山林。戦後に植えられた木は切り時ですし、樹齢300年クラスの大木まで植わっています。台風の影響で荒々しさ残るところもありますが、それが自然の姿であり、山を管理する上での自然と対峙する様相を垣間見ることができました。水の豊富さが、この山の特徴。水源となる湧水を見ることが出来、美味しい水を戴くことができるのです。こちらの山に植わっている樹々は、スギ対ヒノキが7対3。スギは水が豊富に必要なので水脈に近いところ、ヒノキは尾根側に植わっています。
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こちらは大正6年に作られた水力発電の遺構。水の豊富さを物語る痕跡です。ゴミを取り除く調整池。戦時に金属類は盗まれ、石組だけが残っています。その石組にはヒビが入っておらず、保存状態が良い。江戸時代の石垣を組む技術が、ここでも活かされているのだと思われます。
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次に訪れたのは『森林組合』の土場。辻村さんの山林のような山々から切り出された丸太が集まってくる場所であり、その丸太を製材所の方々が買い付けにくる場所であります。スギとヒノキの皮や葉っぱの違いの解説に耳を傾けます。基本的なことではありますが、机上で仕事している設計者にとっては新鮮なこと。スギとヒノキの違いを知らない人も多いので、念のため。
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午後から訪れたのは『大山材木店』の製材所。丸太を角材や板に加工するところ。大規模な製材所では最新設備が導入され、オートメーション化が進んでいますが、こちらは比較的に小さな規模で、町場の製材所といった感じです。丸太の製材には3人がかり。大規模な所、小規模な所、それぞれにメリット、デメリットがあります。そういったことを、大山さんの所で学べたように思います。今回は、特別に樹齢280年の丸太を目の前で挽いてくれることに。丸太の断面を見て、まず木取りを決めるのですが、教科書的にいうと、いかに合理的に丸太を分割するかということになります。
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しかし実際に挽いてみると、木の持つ一本一本の個性に気づきます。見事な柾目が出てきました。大山さん親子は、これは建具に使おうと話し合います。建具は反りやすく、人目に触れる部位ですので、こういう真っ直ぐで良質な柾目は希少価値が高いのです。流れ作業になると、一つ一つの素材の特性を見極めることができなくなりますね。目の前で繰り広げられる大山さん親子の生々しく、人間的、職人的な仕事風景を目の当たりにする機会に恵まれました。丸太の木取りはもちろんのこと、挽いてみないと分からない素材の特質を見極め、その使い道を相談しながら木を使える製材所として貴重な存在かと思います。
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続いて訪れたのは小田原の宮大工『芹澤棟梁』の作業場。ちなみに芹澤さんは、この4月~9月にかけて森美術館で開催されていた「建築の日本展」において『丹下健三自邸』の1/3スケールの再現模型を製作されたお方。素材のこと、道具のこと、技術のこと等をお聞きします。近年の一般住宅では、現場でカンナを使う大工さんの姿が見られなくなってきておりますね。既製品によるキット化住宅が主流ですので、、、棟梁の手によると、指一本でもカンナは引けます。その厚みは8ミクロンほど、サランラップよりも薄いのです。
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我々が認識しているカンナは、台カンナ(先の写真)と呼ばれ、室町時代中頃に中国より伝わったと考えられております。それ以前に日本で使われていた木を削る道具は、こちらの槍カンナ。棟梁曰く「台カンナが入って来て、槍カンナを使える大工がいなくなった」と。槍カンナの技術を披露してくれました。流れるような美しい動き、その雄姿は勇ましい。
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続いて訪れたのは、国の登録有形文化財『清閑亭』です。明治39年に建てられた黒田長成侯爵の別邸。平屋と2階建ての家屋が雁行して連なる数寄屋造り。晴れた日、2階からは真鶴半島、大島、相模湾、箱根山が一望できるロケーション。内部の板絵襖、欄間、網代天井、鏡天井といった優れた意匠を拝見することができました。
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天気に恵まれ、清々しい一日。散歩がてらに、小田原城内に位置する報徳二宮神社の大鳥居も見学。午前中拝見させてもらった辻村さんの山で切り出された樹齢280年の柱。昨年、88年ぶりに新たに建立されたそうです。

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最後に訪れたのは木の専門店『竹広林業』さん。一日かけて木材の川上から川下までを見学してきたのですが、まずは古川先生によるその流通と役目に関する講義。そして竹広林業の高木さんを中心に意見交換が進行。

今回の見学会には、小田原市役所の農林振興係の方々も協力下さいました。林業関係窓口は、県単位では持ち合わせているものの、一般的に市町村単位ではありません。そういった意味でも、小田原市の林業振興に対する意識の高さが伺えます。全体的な感想としては、川上から川下までの連携、官民一体となっての取り組みが好印象。首都圏近くに、こんな産地があることが嬉しく、また足を運びたく思います。

根來宏典/根來宏典建築研究所

by iezukuri-school | 2018-11-22 14:31 | 2年の授業風景 | Comments(0)

10期2年生 第5回「左官」

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10月20日(土)家づくり学校2年生の第5回目『左官』の授業がありました。

講師は家づくりの会の泉幸甫先生。この日の授業は午後からなのですが、泉先生が「午前中、10月1日にリニューアルした『とらや赤坂店』を皆で一緒に見学に行きませんか?」と。建築家・内藤廣さんの設計によるもので、その建物の中に左官の名匠・久住章さんが黒の磨きをやっているというのです。1階と3階の壁には新しい技法を用いた斑模様の黒磨き。2階の壁には伝統技法の黒磨き。伝統的といいながらも、かなり際どい技術にチャレンジしているのだそうです。
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午後からは東中野にある富沢建材さんに移っての授業。左官の指南役には若手のホープ・古川元章さんをお招き。左官の世界を体験するため『掻き落とし』という技法にチャレンジ。事前に「左官に混入する独創的な骨材を持ってきてもらいたい」とアナウンスしてありました。そういったものも骨材として混ぜていきます。貝殻、ドングリ、ビーズアクセサリー、ワッシャー、アルミ箔、紐、漂白剤、お茶っ葉、カレー粉、タンポポ、、、まだまだユニークなのがあるのですが、特許侵害になりそうなので公表するのは止めときます(笑)
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30㎝角のパネルに塗り込んできます。厚い骨材は左官の厚みの中に塗り込むのが難しいし、細かな骨材は左官の中に埋もれてしまいます。掻き落とした際に、各自が持参した骨材が上手く表れるかどうか、、、上の写真は掻き落とし作業の様子。基本はブラシで掻き落とすのですが、毛先の硬いもの、柔らかいもの、細いもの、太いもの。ブラシを一方方向に引く人もいれば、円を描くように掻き落とす人も。細かな骨材の場合は、水を吸わせたスポンジで丁寧に表面を叩きます。イメージ通りに行った人、行かない人、予想外に上手く行った人、、、笑いの絶えない時間でした。
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もう一つ『漆喰磨き』という技法にもチャレンジ!漆喰に顔料を混ぜて、鏝で磨き上げます。顔料はイタリアのメーカーが出している天然無機顔料。天然の黄土を焼成して色を調整した天然素材。ヨーロッパの歴史的な建築やフレスコ画の修復にも使われている顔料です。ポイントは顔料をよく混ぜること。そして薄く塗ること。後は何度も何度も鏝を走らせます。すると漆喰が輝いてきます。と簡単に言いますが、これが難しい、、、
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さてさて最後は品評会。みんなの「掻き落とし」と「漆喰磨き」を並べてみると壮観。それぞれに個性が表れ、華やかですね。左官の世界にすっかり魅了される一行でした。

根來宏典/根來宏典建築研究所

by iezukuri-school | 2018-11-12 16:42 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第10期2年生 第4回「建具」

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9月15日(土)は、家づくり学校2年生の第4回目『建具』の授業でした。引率講師は、家づくりの会の松本直子先生。

まずは、埼玉県ときがわ町にある『畑産業』さん。建具業界においても、その製作現場はコンピューター化が進み、NC加工機を導入している工場が多い。こちらの工場でもNC加工機を有しているのですが、できれば手加工にこだわり続けたいと考えているそうです。
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なぜ手加工にこだわるか、、、こちらは障子の組子のサンプルなのですが、面取り障子といい、手の込んだもの。手加工とNCで加工したものの違いを見せてくれました。こういった難しい仕口を手加工すると、手間や時間が掛かり過ぎてしまいます。NC加工機を使うと、もちろん早く、精度も良く出来るのですが、それらは手加工の知識や技術あってのこと。コンピューターを使うのは人ですし、仕口の形状や組み方を熟知していないと、高度なコンピューター技術も有効に活用することはできませんね。
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続いて訪れたのは、埼玉県熊谷市にある『栗原木工所』さん。こちらも伝統的な建具を得意としている建具屋さんなのですが、NC加工機を積極的に活用している工場です。
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欄間などの組子。菱物や亀甲物、多様な組み方がありますが、こういった組子の仕口は、同じ形状の繰り返しであり、NC加工機を使うことの有用性はいうまでもありませんね。
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続いて訪れたのは、埼玉県狭山市にある『阿部興業 狭山中央研究所』さん。断熱、気密、水密、耐風圧、耐火、防犯、耐久、安全、耐震、遮音、、、といった性能を試験する設備が整っており、こういった性能も建具としての大切な要素。研究所ということで、試験室の写真撮影はNG。こちらは会議室で行われた建具に関する講義の様子。松本直子さんからは建具の使い方、阿部興業さんからは框の組み方や強度等、設計者に知っておいて欲しいことを教示してくれました。
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最後に組子のパーツが配られました。各自で組み立ててみて下さいと。簡単にできそうに見えますが、実際にやってみると「???」溝の付け方に法則があるようで、順番を間違えると組み上がらない。左が「麻の葉」、右が「七宝亀甲」。どちらも正六角形を基調とした亀甲物という紋様なのですが、その数は80種類以上もあるそうです。日本の伝統って凄い。
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最後に訪れたのは、東京都昭島市にある『荒川木工所』さん。いわゆる町場の建具屋さんなのですが、高い技術、知識、経験をお持ち。工場の中を一通り案内してもらった後、工場の前に机を広げて、荒川さんによる青空教室。限られた時間ですので、障子に的を絞って解説してくれました。設計者の知識を、建具屋さんのレベルまで高める必要はないかもしれません。ただ、あるレベルを知らないと、本物のデザインができませんし、そのデザインを作ってくれる職人技術を知らずして、本質的な実務は成り立たないと思える講義でありました。
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家づくりの会の木製防火建具研究会と一緒に開発した防火建具のモックアップ。防火性能を求められる地域においては、基本的に木製建具は使えません。一部のメーカーでは防火認定を取得した木製サッシも生産していますが、それらはそのメーカーでしか作ることはできませんし、意匠的にも悩ましいところ。こちらで目指しているのは「町場の建具屋さんでも製作できる木製防火建具」であり、技術のオープン化。しかも建築家の建具らしく框が細い、隠し框、透明ガラスと拘りが詰まった美しさ。木の素材も選べますし、モックアップなので小さなサイズですが、最大w2.85m×h2.40mで防火認定を取っています。

建具屋さんに足を運んだことのある設計者は少ないのではないでしょうか、、、今の住宅で使われている殆どの建具は、既製の工業製品であり、町場の建具屋さんの出番は少なく、職人・後継者不足に悩まされ、技術が衰退しつつあります。特注品と既製品、手加工と機械加工、伝統的なものと現代的なもの、どちらが良いということではなく、相互の良い所を活かすことの大切さ、その工夫を学んだ一日となりました。

根來宏典/根來宏典建築研究所

by iezukuri-school | 2018-09-21 17:45 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第10期2年生 第3回「大谷石・深岩石」

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7月28日(土)2年生「大谷石・深岩石」の授業レポートです。

今年は異常気象の影響からか普段と違う迷走台風が近づく中の授業となり、前日からのニュースでちょっと不安なスタート。
講師は根來宏典建築研究所の根來宏典先生です。
校長の泉幸甫先生にも同行して頂き、ちょっと贅沢な授業となりました。

小雨降る中、新宿に集合してバスの中でこれから見に行く石についてレクチャーを受けます。
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現地にて案内して下さる植松さんと合流。
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まずは深岩石の露天掘りの採石場へ。
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切り出したばかりの深岩石はみずみずしくきれいな青みがかった緑色をしています。
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大谷石と比べて強度や耐久性が違うそうです。
最後の一手間はやはり人の力で切出します。
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山を登ったと思ったら今度は大谷石の地下掘りの採石場へ向かいます。
一般向けに見学可能な採石場とは違い、現役で採石されている場所は地下50mほどの空間で地上とは別世界のようです。
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最後の見学先は大谷石を多用した集落の見学です。昔はその周辺の人たち専用の無料で切出してよい採石場があったそうです。そのせいか屋根や外壁に大谷石が使われています。いままで待っていてくれたように最後の見学先でどしゃ降りに。。
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今回は大谷石・深岩石の生産の場、実際に使用されている建物を見ることによって、ひとつの素材の見え方が変わり使い方や見せ方の工夫でまた違った魅力や可能性を秘めてる素材だと再認識した授業となりました。


福田建築設計事務所/福田隆一

by iezukuri-school | 2018-08-06 21:57 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第10期2年生 第2回「植木」

6月16日(土)2年生「植木」の授業レポートです。
講師は川口通正建築研究所の川口通正先生。
今年度も、埼玉県川口市の植木の街「安行」を散策しながら植木の勉強をします。
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梅雨時ということもありお天気が心配でしたが、雨は降らずに丁度良い気候でした。
事前に川口先生よりオススメの書籍も教えて頂き、皆さんちゃんと予習してきたかな?
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最初に伺ったのは三朋緑化さん。
草花や植栽に関しての知識はものすごくて、とても頼りになる方。
今回初めて伺った方も気軽に立ち寄れる場所なので、植栽について困ったことがあればまた伺ってみてください。
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今回見学した場所はどこも、草花、樹木に名前と一般向けの値段の表記があり、
樹木のことを覚える最初のステップとしてはとても良い勉強になったかと思います。

最後に川口先生が設計された2つの住宅の事例を見学させて頂き、
実際にどのように植栽が活かされているか体感する事ができました。
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樹木は生き物なので、それなりに手間もかかりますが、実例を拝見するとその手間以上に豊かな生活を与えてくれる事が実感できました。
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設計を進めていく中で住まい手さんによっては植栽いらないという方もいらっしゃるかもしれません。
そんな住まい手さんの口説き方も川口先生よりちょこっと教えて頂いたり、
これからの皆さんの設計活動にとって良い勉強になったのではないでしょうか。

福田建築設計事務所/福田隆一

by iezukuri-school | 2018-06-24 12:09 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第10期2年生 第1回「素材」

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5月19日(土)、家づくり学校2年生「素材」の授業がありました。


2年生は教室を飛び出し、素材の産地や職人さん達の技術を訪ねるカリキュラム。ですが、いきなり現場に行っても、何を見て良いものやら?何を質問して良いものやら?何のために行くのか?分からない(分かったつもりになっている)もの。


それでは時間もお金もモッタイナイですし、職人さんたちに対して失礼というもの。一回目の授業では「何故そのような場所に足を運ぶのか?」というガイダンスが教室で行われました。講師は、泉幸甫先生です。高度経済成長期、泉先生は、職人文化の衰退や、それに代わる工業化製品の台頭を目の当たりにし、それらと対峙してきた経験豊かな方です。


とはいえ、工業化ということを否定しているわけではありません。ただそれが商業化(利益追求)になると、これは健全な設計者としての立ち振る舞いが問われるわけですね。工業化の夢は何をもたらしたのか?から始まり、そのような時代において住宅における個別性をどのように生み出すか?まで。「職人的な世界感」と「機械・プレキャスト的な世界観」を二項対立的に捉えるのではなく、工業化の良い所は取り入れつつ、その狭間で生きる住宅設計者の未来に光を照らしてくれたように思います。


今年度は、植木、石(大谷石)、建具、左官、木材、瓦、板金といった産地や技術を探訪します。知らない世界を学ぶということは楽しいことなのですが、それを実践にどう結び付けるか?というビジョンが大切。そんな住宅設計者の在り方を考えさせられる授業でした。


新入生となる1年生の授業は、5月27日から始まります。定員までまだ空きがあるようです。入学希望者は、コチラ≫


根來宏典/根來宏典建築研究所


by iezukuri-school | 2018-05-21 15:52 | 2年の授業風景 | Comments(0)


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