カテゴリ:2年の授業風景( 29 )

10期2年生 第6回「木材」

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11月17日(土)家づくり学校2年生の6回目『木材』の授業がありました。行き先は神奈川県小田原市、引率講師は古川泰司先生になります。

木材を深く知るため、まずは山へと登ります。旧小田原藩の藩有林を受け継ぐ山。山主さんであり、林業家である辻村さんの声に耳を傾けます。下草が生い茂り、管理の行き届いた美しい山林。戦後に植えられた木は切り時ですし、樹齢300年クラスの大木まで植わっています。台風の影響で荒々しさ残るところもありますが、それが自然の姿であり、山を管理する上での自然と対峙する様相を垣間見ることができました。水の豊富さが、この山の特徴。水源となる湧水を見ることが出来、美味しい水を戴くことができるのです。こちらの山に植わっている樹々は、スギ対ヒノキが7対3。スギは水が豊富に必要なので水脈に近いところ、ヒノキは尾根側に植わっています。
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こちらは大正6年に作られた水力発電の遺構。水の豊富さを物語る痕跡です。ゴミを取り除く調整池。戦時に金属類は盗まれ、石組だけが残っています。その石組にはヒビが入っておらず、保存状態が良い。江戸時代の石垣を組む技術が、ここでも活かされているのだと思われます。
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次に訪れたのは『森林組合』の土場。辻村さんの山林のような山々から切り出された丸太が集まってくる場所であり、その丸太を製材所の方々が買い付けにくる場所であります。スギとヒノキの皮や葉っぱの違いの解説に耳を傾けます。基本的なことではありますが、机上で仕事している設計者にとっては新鮮なこと。スギとヒノキの違いを知らない人も多いので、念のため。
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午後から訪れたのは『大山材木店』の製材所。丸太を角材や板に加工するところ。大規模な製材所では最新設備が導入され、オートメーション化が進んでいますが、こちらは比較的に小さな規模で、町場の製材所といった感じです。丸太の製材には3人がかり。大規模な所、小規模な所、それぞれにメリット、デメリットがあります。そういったことを、大山さんの所で学べたように思います。今回は、特別に樹齢280年の丸太を目の前で挽いてくれることに。丸太の断面を見て、まず木取りを決めるのですが、教科書的にいうと、いかに合理的に丸太を分割するかということになります。
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しかし実際に挽いてみると、木の持つ一本一本の個性に気づきます。見事な柾目が出てきました。大山さん親子は、これは建具に使おうと話し合います。建具は反りやすく、人目に触れる部位ですので、こういう真っ直ぐで良質な柾目は希少価値が高いのです。流れ作業になると、一つ一つの素材の特性を見極めることができなくなりますね。目の前で繰り広げられる大山さん親子の生々しく、人間的、職人的な仕事風景を目の当たりにする機会に恵まれました。丸太の木取りはもちろんのこと、挽いてみないと分からない素材の特質を見極め、その使い道を相談しながら木を使える製材所として貴重な存在かと思います。
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続いて訪れたのは小田原の宮大工『芹澤棟梁』の作業場。ちなみに芹澤さんは、この4月~9月にかけて森美術館で開催されていた「建築の日本展」において『丹下健三自邸』の1/3スケールの再現模型を製作されたお方。素材のこと、道具のこと、技術のこと等をお聞きします。近年の一般住宅では、現場でカンナを使う大工さんの姿が見られなくなってきておりますね。既製品によるキット化住宅が主流ですので、、、棟梁の手によると、指一本でもカンナは引けます。その厚みは8ミクロンほど、サランラップよりも薄いのです。
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我々が認識しているカンナは、台カンナ(先の写真)と呼ばれ、室町時代中頃に中国より伝わったと考えられております。それ以前に日本で使われていた木を削る道具は、こちらの槍カンナ。棟梁曰く「台カンナが入って来て、槍カンナを使える大工がいなくなった」と。槍カンナの技術を披露してくれました。流れるような美しい動き、その雄姿は勇ましい。
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続いて訪れたのは、国の登録有形文化財『清閑亭』です。明治39年に建てられた黒田長成侯爵の別邸。平屋と2階建ての家屋が雁行して連なる数寄屋造り。晴れた日、2階からは真鶴半島、大島、相模湾、箱根山が一望できるロケーション。内部の板絵襖、欄間、網代天井、鏡天井といった優れた意匠を拝見することができました。
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天気に恵まれ、清々しい一日。散歩がてらに、小田原城内に位置する報徳二宮神社の大鳥居も見学。午前中拝見させてもらった辻村さんの山で切り出された樹齢280年の柱。昨年、88年ぶりに新たに建立されたそうです。

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最後に訪れたのは木の専門店『竹広林業』さん。一日かけて木材の川上から川下までを見学してきたのですが、まずは古川先生によるその流通と役目に関する講義。そして竹広林業の高木さんを中心に意見交換が進行。

今回の見学会には、小田原市役所の農林振興係の方々も協力下さいました。林業関係窓口は、県単位では持ち合わせているものの、一般的に市町村単位ではありません。そういった意味でも、小田原市の林業振興に対する意識の高さが伺えます。全体的な感想としては、川上から川下までの連携、官民一体となっての取り組みが好印象。首都圏近くに、こんな産地があることが嬉しく、また足を運びたく思います。

根來宏典/根來宏典建築研究所

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by iezukuri-school | 2018-11-22 14:31 | 2年の授業風景 | Comments(0)

10期2年生 第5回「左官」

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10月20日(土)家づくり学校2年生の第5回目『左官』の授業がありました。

講師は家づくりの会の泉幸甫先生。この日の授業は午後からなのですが、泉先生が「午前中、10月1日にリニューアルした『とらや赤坂店』を皆で一緒に見学に行きませんか?」と。建築家・内藤廣さんの設計によるもので、その建物の中に左官の名匠・久住章さんが黒の磨きをやっているというのです。1階と3階の壁には新しい技法を用いた斑模様の黒磨き。2階の壁には伝統技法の黒磨き。伝統的といいながらも、かなり際どい技術にチャレンジしているのだそうです。
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午後からは東中野にある富沢建材さんに移っての授業。左官の指南役には若手のホープ・古川元章さんをお招き。左官の世界を体験するため『掻き落とし』という技法にチャレンジ。事前に「左官に混入する独創的な骨材を持ってきてもらいたい」とアナウンスしてありました。そういったものも骨材として混ぜていきます。貝殻、ドングリ、ビーズアクセサリー、ワッシャー、アルミ箔、紐、漂白剤、お茶っ葉、カレー粉、タンポポ、、、まだまだユニークなのがあるのですが、特許侵害になりそうなので公表するのは止めときます(笑)
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30㎝角のパネルに塗り込んできます。厚い骨材は左官の厚みの中に塗り込むのが難しいし、細かな骨材は左官の中に埋もれてしまいます。掻き落とした際に、各自が持参した骨材が上手く表れるかどうか、、、上の写真は掻き落とし作業の様子。基本はブラシで掻き落とすのですが、毛先の硬いもの、柔らかいもの、細いもの、太いもの。ブラシを一方方向に引く人もいれば、円を描くように掻き落とす人も。細かな骨材の場合は、水を吸わせたスポンジで丁寧に表面を叩きます。イメージ通りに行った人、行かない人、予想外に上手く行った人、、、笑いの絶えない時間でした。
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もう一つ『漆喰磨き』という技法にもチャレンジ!漆喰に顔料を混ぜて、鏝で磨き上げます。顔料はイタリアのメーカーが出している天然無機顔料。天然の黄土を焼成して色を調整した天然素材。ヨーロッパの歴史的な建築やフレスコ画の修復にも使われている顔料です。ポイントは顔料をよく混ぜること。そして薄く塗ること。後は何度も何度も鏝を走らせます。すると漆喰が輝いてきます。と簡単に言いますが、これが難しい、、、
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さてさて最後は品評会。みんなの「掻き落とし」と「漆喰磨き」を並べてみると壮観。それぞれに個性が表れ、華やかですね。左官の世界にすっかり魅了される一行でした。

根來宏典/根來宏典建築研究所

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by iezukuri-school | 2018-11-12 16:42 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第10期2年生 第4回「建具」

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9月15日(土)は、家づくり学校2年生の第4回目『建具』の授業でした。引率講師は、家づくりの会の松本直子先生。

まずは、埼玉県ときがわ町にある『畑産業』さん。建具業界においても、その製作現場はコンピューター化が進み、NC加工機を導入している工場が多い。こちらの工場でもNC加工機を有しているのですが、できれば手加工にこだわり続けたいと考えているそうです。
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なぜ手加工にこだわるか、、、こちらは障子の組子のサンプルなのですが、面取り障子といい、手の込んだもの。手加工とNCで加工したものの違いを見せてくれました。こういった難しい仕口を手加工すると、手間や時間が掛かり過ぎてしまいます。NC加工機を使うと、もちろん早く、精度も良く出来るのですが、それらは手加工の知識や技術あってのこと。コンピューターを使うのは人ですし、仕口の形状や組み方を熟知していないと、高度なコンピューター技術も有効に活用することはできませんね。
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続いて訪れたのは、埼玉県熊谷市にある『栗原木工所』さん。こちらも伝統的な建具を得意としている建具屋さんなのですが、NC加工機を積極的に活用している工場です。
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欄間などの組子。菱物や亀甲物、多様な組み方がありますが、こういった組子の仕口は、同じ形状の繰り返しであり、NC加工機を使うことの有用性はいうまでもありませんね。
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続いて訪れたのは、埼玉県狭山市にある『阿部興業 狭山中央研究所』さん。断熱、気密、水密、耐風圧、耐火、防犯、耐久、安全、耐震、遮音、、、といった性能を試験する設備が整っており、こういった性能も建具としての大切な要素。研究所ということで、試験室の写真撮影はNG。こちらは会議室で行われた建具に関する講義の様子。松本直子さんからは建具の使い方、阿部興業さんからは框の組み方や強度等、設計者に知っておいて欲しいことを教示してくれました。
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最後に組子のパーツが配られました。各自で組み立ててみて下さいと。簡単にできそうに見えますが、実際にやってみると「???」溝の付け方に法則があるようで、順番を間違えると組み上がらない。左が「麻の葉」、右が「七宝亀甲」。どちらも正六角形を基調とした亀甲物という紋様なのですが、その数は80種類以上もあるそうです。日本の伝統って凄い。
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最後に訪れたのは、東京都昭島市にある『荒川木工所』さん。いわゆる町場の建具屋さんなのですが、高い技術、知識、経験をお持ち。工場の中を一通り案内してもらった後、工場の前に机を広げて、荒川さんによる青空教室。限られた時間ですので、障子に的を絞って解説してくれました。設計者の知識を、建具屋さんのレベルまで高める必要はないかもしれません。ただ、あるレベルを知らないと、本物のデザインができませんし、そのデザインを作ってくれる職人技術を知らずして、本質的な実務は成り立たないと思える講義でありました。
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家づくりの会の木製防火建具研究会と一緒に開発した防火建具のモックアップ。防火性能を求められる地域においては、基本的に木製建具は使えません。一部のメーカーでは防火認定を取得した木製サッシも生産していますが、それらはそのメーカーでしか作ることはできませんし、意匠的にも悩ましいところ。こちらで目指しているのは「町場の建具屋さんでも製作できる木製防火建具」であり、技術のオープン化。しかも建築家の建具らしく框が細い、隠し框、透明ガラスと拘りが詰まった美しさ。木の素材も選べますし、モックアップなので小さなサイズですが、最大w2.85m×h2.40mで防火認定を取っています。

建具屋さんに足を運んだことのある設計者は少ないのではないでしょうか、、、今の住宅で使われている殆どの建具は、既製の工業製品であり、町場の建具屋さんの出番は少なく、職人・後継者不足に悩まされ、技術が衰退しつつあります。特注品と既製品、手加工と機械加工、伝統的なものと現代的なもの、どちらが良いということではなく、相互の良い所を活かすことの大切さ、その工夫を学んだ一日となりました。

根來宏典/根來宏典建築研究所

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by iezukuri-school | 2018-09-21 17:45 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第10期2年生 第3回「大谷石・深岩石」

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7月28日(土)2年生「大谷石・深岩石」の授業レポートです。

今年は異常気象の影響からか普段と違う迷走台風が近づく中の授業となり、前日からのニュースでちょっと不安なスタート。
講師は根來宏典建築研究所の根來宏典先生です。
校長の泉幸甫先生にも同行して頂き、ちょっと贅沢な授業となりました。

小雨降る中、新宿に集合してバスの中でこれから見に行く石についてレクチャーを受けます。
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現地にて案内して下さる植松さんと合流。
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まずは深岩石の露天掘りの採石場へ。
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切り出したばかりの深岩石はみずみずしくきれいな青みがかった緑色をしています。
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大谷石と比べて強度や耐久性が違うそうです。
最後の一手間はやはり人の力で切出します。
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山を登ったと思ったら今度は大谷石の地下掘りの採石場へ向かいます。
一般向けに見学可能な採石場とは違い、現役で採石されている場所は地下50mほどの空間で地上とは別世界のようです。
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最後の見学先は大谷石を多用した集落の見学です。昔はその周辺の人たち専用の無料で切出してよい採石場があったそうです。そのせいか屋根や外壁に大谷石が使われています。いままで待っていてくれたように最後の見学先でどしゃ降りに。。
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今回は大谷石・深岩石の生産の場、実際に使用されている建物を見ることによって、ひとつの素材の見え方が変わり使い方や見せ方の工夫でまた違った魅力や可能性を秘めてる素材だと再認識した授業となりました。


福田建築設計事務所/福田隆一

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by iezukuri-school | 2018-08-06 21:57 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第10期2年生 第2回「植木」

6月16日(土)2年生「植木」の授業レポートです。
講師は川口通正建築研究所の川口通正先生。
今年度も、埼玉県川口市の植木の街「安行」を散策しながら植木の勉強をします。
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梅雨時ということもありお天気が心配でしたが、雨は降らずに丁度良い気候でした。
事前に川口先生よりオススメの書籍も教えて頂き、皆さんちゃんと予習してきたかな?
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最初に伺ったのは三朋緑化さん。
草花や植栽に関しての知識はものすごくて、とても頼りになる方。
今回初めて伺った方も気軽に立ち寄れる場所なので、植栽について困ったことがあればまた伺ってみてください。
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今回見学した場所はどこも、草花、樹木に名前と一般向けの値段の表記があり、
樹木のことを覚える最初のステップとしてはとても良い勉強になったかと思います。

最後に川口先生が設計された2つの住宅の事例を見学させて頂き、
実際にどのように植栽が活かされているか体感する事ができました。
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樹木は生き物なので、それなりに手間もかかりますが、実例を拝見するとその手間以上に豊かな生活を与えてくれる事が実感できました。
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設計を進めていく中で住まい手さんによっては植栽いらないという方もいらっしゃるかもしれません。
そんな住まい手さんの口説き方も川口先生よりちょこっと教えて頂いたり、
これからの皆さんの設計活動にとって良い勉強になったのではないでしょうか。

福田建築設計事務所/福田隆一

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by iezukuri-school | 2018-06-24 12:09 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第10期2年生 第1回「素材」

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5月19日(土)、家づくり学校2年生「素材」の授業がありました。


2年生は教室を飛び出し、素材の産地や職人さん達の技術を訪ねるカリキュラム。ですが、いきなり現場に行っても、何を見て良いものやら?何を質問して良いものやら?何のために行くのか?分からない(分かったつもりになっている)もの。


それでは時間もお金もモッタイナイですし、職人さんたちに対して失礼というもの。一回目の授業では「何故そのような場所に足を運ぶのか?」というガイダンスが教室で行われました。講師は、泉幸甫先生です。高度経済成長期、泉先生は、職人文化の衰退や、それに代わる工業化製品の台頭を目の当たりにし、それらと対峙してきた経験豊かな方です。


とはいえ、工業化ということを否定しているわけではありません。ただそれが商業化(利益追求)になると、これは健全な設計者としての立ち振る舞いが問われるわけですね。工業化の夢は何をもたらしたのか?から始まり、そのような時代において住宅における個別性をどのように生み出すか?まで。「職人的な世界感」と「機械・プレキャスト的な世界観」を二項対立的に捉えるのではなく、工業化の良い所は取り入れつつ、その狭間で生きる住宅設計者の未来に光を照らしてくれたように思います。


今年度は、植木、石(大谷石)、建具、左官、木材、瓦、板金といった産地や技術を探訪します。知らない世界を学ぶということは楽しいことなのですが、それを実践にどう結び付けるか?というビジョンが大切。そんな住宅設計者の在り方を考えさせられる授業でした。


新入生となる1年生の授業は、5月27日から始まります。定員までまだ空きがあるようです。入学希望者は、コチラ≫


根來宏典/根來宏典建築研究所


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by iezukuri-school | 2018-05-21 15:52 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第9期2年生 第7回「古材・再生素材」

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1月20日(土)は、家づくり学校2年生の第7回目『古材・再生素材』の授業でした。

引率講師は、家づくりの会の安井正先生。
はじめに訪れたのは、新木場にある『東京ボード工業』さん。
パーティクルボードを作っている工場です。

型枠、造作端材、パレット、家具、植木(生木)、割箸、、、これら木質系の廃棄物をチップ化し、安全・健康に配慮された接着剤で再結合させたボード製品。
システムキッチンや収納家具、マンション置床の下地として使われています。

工場内部は写真撮影禁止ということで公表はできませんが、
持ち込まれた廃材に混じっている釘などの金属を丁寧に取り除き、
厳ついカッターで粉砕されてチップとなり、それをボード状に固められて製品化。

こちらでは大量の受け入れ要求があり、生産量が年々増加しているそうです。
リサイクルやエコという言葉が脚光を浴びる時代において、
自分たちの作ったものが、その役目を終えた時のことまで想像しておくことは、
我々設計者にとっても大切なことだと思います。

続いて訪れたのは、葛飾区金町にある『柳沢商店』さん。
家屋解体時に出る再利用可能な建築資材を取り扱っているところ。
倉庫の中には、所狭しと資材が保管。奥に行くに従い、お宝が眠っている予感がします。
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柱や梁はもちろんのこと、野縁や垂木を含め、ほぼ全ての部材を大切に扱っております。
解説してくれるのは、4代目の小林さん。手の込んだ明かり障子や、レトロな硝子障子、
素材の色艶が増した経年美化。好きな人には、堪らない空間です。
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次に訪れたのは、谷中にある湿板写真館。
安井さんが15年前にリノベーションを手掛けた実例。
内部の様子は、写真に写っている方々の肖像のことがありますので、公開は控えます。
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天井を剥がし、古びた梁材を表した空間。大胆に切り取ったトップライトからの光が空間の陰影を惹き立てているように思います。床にはパーティクルボードが貼られており、15年を経た暮らしに馴染む様相がうかがえました。
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せっかくなので、谷中散策。
古い建物をリノベーションしたり、古材や再生素材を活かした街並みが広がっています。
瓦と土を重ねて積んだ塀、江戸時代の寺町の面影を今に伝えます。
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最後は、谷中銀座の路地奥にある『空薫×tech to hook』。家づくり学校の事務局長の丸石さんが主宰する設計事務所と、そのお友達がやっている和菓子屋さん。
古い木造住宅をリノベーションして活用している実例を見学させていただきました。
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以上、一日歩き回り、考えさせられることが多かったように思います。
聞こえの良いキャッチコピーが流布する現代社会において、
シビアな現実を受け止めた上で何ができるか?
そういったことをも探求することが、我々設計者としての責任かと感じました。

根來宏典/根來宏典建築研究所

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by iezukuri-school | 2018-01-22 17:40 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第9期2年生第6回「木材」

1118日(土)2年生は埼玉の山へ木材を勉強に行ってきました。

講師は松澤静男先生(マツザワ設計)。

今回は埼玉県飯能の「西川・森の市場」事務局の浅見さんにも同行して頂きました。

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まず向かったのは、飯能にある井上さんの山。

井上さんから、この地で育つ西川材とよばれている名前の由来や、杉材の特性などレクチャーして頂きながら、山を登っていきます。

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同じ70年生の杉でもまったく太さの違う木を見て育ちや強度の違いの話、まっすぐ育つ良質な杉は遺伝的な要素を持っていてその子供の杉もまっすぐ育つ、そんな話も聞いたりしながら、伐採して頂ける木の近くまで到着しました。

職人さんがチェーンソーを操って、手際よく作業していきます。

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無造作に並んでいるような杉の木ですが、計画的に木の性格や生長具合などを見極めながら、山に手を加える仕事はとても根気と労力のいる仕事です。今、日本の山は構造材や建材として使う木材を供給するにはちょうど良い時期なのだそうです。多少高くても国産材を使う意義を改めて考える良い機会になったのではないでしょうか。

伐採見学の後は「KINOCA」さんでお昼ごはん。

こちらの施設を設計されたのは現在4年生のヒダマリデザイン設計室の太田さんです。

プレカットと手加工の違いを見比べる事が出来るように設計されています。

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午後は加工の現場へと伺います。

午後一番に伺った「日本住建」さんは、手加工も可能なプレカット工場です。

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機械では加工できない複雑な納まりとなりそうな部分はモックアップを大工さんが加工して納め方を検討してくれる、ちょっと面白いプレカット工場です。

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ロボットの腕のような機械。ちゃんと工具を持ち替えて作業しています。

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その後は、手刻みの加工現場を見学に「吉澤建設工業」さんの下小屋へ。

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先代の社長さんは現代の名工として表彰されるなど、木組みについてはこだわりのある工務店さんです。木材の仕口について2代目社長の吉澤さんからレクチャーして頂きました。

蟻かけの継ぎ手もプレカットと手刻みではねじれに対しひと手間かけていたりと手刻みによる加工の場合同じように見える仕口でも見えないところにひと手間かかっている事を教えて頂きました。

近くで施工中の現場も見学させて頂きました。

素材のある山に入りその素材を加工するまでの流れを見て、山の現状や機械化と手加工の違いを肌で感じる事が出来た一日でした。見学先それぞれで感じたのはそこにいる人がやはり素材に愛着をもって向き合っているということ。その素材をどのように設計に取り込み活用していくのか、個々の考えの違いはあれど、設計者としての向き合い方は同じでなければいけないような気がしました。

福田建築設計事務所/福田隆一

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by iezukuri-school | 2017-12-20 16:15 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第9期2年生 第5回「建具」

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10月21日(土)は、家づくり学校2年生の第5回目『建具』の授業でした。

引率講師は、家づくりの会の松本直子先生。
はじめに訪れたのは、埼玉県狭山市にある『阿部興業 狭山中央研究所』さん。
今年7月に開設された新しい施設です。
建具の知識向上の場を提供するモックアップ展示、製品性能を試験で実施し、
各評価試験に備えて基礎データを充実させる製品試験室を備えています。

建具に求められる性能として、断熱、気密、水密、耐風圧、耐火、防犯、耐久、安全、耐震、遮音といったことが考えられます。これらのことは、建築基準法、住宅性能表示制度、公的仕様書、業界ガイドラインでも示されていますが、
ものづくりが規格化されていく流れの中で、その原点に立ち返ることも重要であり、
こういった性能についても我々設計者は無関心ではいられません。

腰を据えた講義を伺った後、いよいよ試験室の見学です。
研究所のため写真NGであり、詳しくはお伝えすることはできませんが、
全16種類の試験及び施工方法を検討できる設備を備えておりました。
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続いて向かったのは、埼玉県熊谷市にある建具屋『利光』さん。
NC加工機が整い、フラッシュと無垢の両方、
さらには防音や防火といった特殊建具を得意としています。
NCというのは、ナンバーコントロールの略で、コンピューター制御された機械のこと。
導入コストは高価ですが、作業効率が向上しますね。
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鉛を扱う様子、病院のX線室の扉に仕込まれます。
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次に向かったのは、埼玉県比企郡ときがわ町にある建具屋『下雲木工所』さん。
ときがわ町は「建具のまち」で、町内には70件程の建具屋さんがあるそうです。
その中でも下雲さんは、無垢の建具、格子、障子、框戸を得意としており、
全て受注生産の建具を扱っています。
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墨付け、ホゾ加工が終わり、次の工程を待つ部材。職人技が光ります。
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最後に訪れたのは、東京都昭島市にある建具屋『荒川木工所』さん。
先の見学先で質問や解説に熱が入り過ぎ、、、
すっかり日が暮れての遅い時間の到着となってしまいました。
手づくりの建具を全般的に得意としているのですが、限られた時間ですので、
障子に的を絞り、その形状や組手のことを分かりやすく教えてくれました。
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家づくりの会の木製防火建具研究会と一緒に木製防火建具の開発をした建具屋さんです。
その建具の仕掛けを説明している様子。
建築家の建具らしく框が細い、隠し框、機能とこだわりが詰まった美しさ。
モックアップなので小さなサイズですが、最大w2.85m×h2.40mで認定を取っています。
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この防火建具の凄い所は、デザインだけではありません。
一部のメーカーでも木製防火サッシを生産していますが、それはそのメーカーでしかつくることができません。それに対しこちらは、どこの町場の建具屋さんでもつくれる仕様、認定の取り方になっており、技術のオープン化を目指しています。
素材についても、杉以上の密度であれば何でも使えます。

この開発が始まって10年程、ようやく実現できるようになった訳です。
町場の建具屋さんの元気を取り戻すことに寄与できると良いですね。

建具屋さんに足を運んだことのある設計者は少ないのではないでしょうか、、、
今の住宅で使われている殆どの建具は既製の工業製品であり、技術が衰退しつつあります。
特注品と既製品、手加工と機械加工、伝統的なものと現代的なもの、どちらが良いということではなく、相互の良い所を活かすことの大切さを学んだ一日となりました。

根來宏典/根來宏典建築研究所
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by iezukuri-school | 2017-10-27 06:03 | 2年の授業風景 | Comments(0)

第9期2年生 第4回「瓦」

9月16日(土)第4回目「瓦」の授業のレポートです。
講師は徳井正樹先生と屋根舞台という瓦製造、瓦職人のチームの世話人代表、小林保先生です。

今回の授業の出発点は高崎駅。みんなで車を出し合って移動します。


先ず伺ったのが、徳井先生設計の「花扇」。
地域に根差したお花屋さんで、ここでは「離瓦」という瓦を放熱板としてとらえ考え出された新しい工法で屋根は葺かれています。
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その次に伺ったのは、「能瓦」で葺かれた家を見学。この瓦も江戸中期の十能瓦として伝わっていた瓦を現代に合うように復刻されたそうです。
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その後、徳井先生のご自宅にうつり、ミニ講座。
地球温暖化による夏場の温熱環境の変化に瓦を活用することに至った経緯やご自宅の建設時のお話しや地域の事など、とても内容の濃い講義。
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まだまだ続きます。次は小林先生のご自宅に移り、お昼ご飯のお弁当を食べながら、小林先生のお話しを伺います。
自らも屋根に上り瓦を葺く職人さんとして、設計者に対する考えをお聞き出来ました。
小林先生は屋根舞台というチームを組んで徳井先生と一緒に離瓦や能瓦など創作し甍賞の金賞も受賞され新しいことへチャレンジした時の苦労話や、
職人へ依頼する際の極意など、設計者として為になるお話しを伺いました。
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群馬県甘楽町は、富岡製糸場と深い繋がりがあり、製糸場を建設する際に必要ととなるレンガ、瓦はほとんど甘楽町で作られたそうです。
だるま窯や、トンネル窯も見学し、最後の締めくくりは、改修中の富岡製糸場へ。
瓦の屋根工事も担当されている小林先生よりレクチャーを受けながらの見学はまた違った見え方のする行程となりました。
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今回の見学で地域で活動する建築家の素材に対する向き合い方、どっぷりと浸かることも必要だと実感いたしました。
福田隆一/福田建築設計事務所

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by iezukuri-school | 2017-09-27 19:14 | 2年の授業風景 | Comments(0)


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